豪ドル円:過度なリスク懸念後退で上昇しやすい地合いに
- メインターゲット:90.00円
- サブターゲット:85.20円
豪ドル・円は足元のレンジ上限突破を試す展開に
日足のボリンジャーバンドと移動平均線のチャートで現状の豪ドル・円相場を見てみましょう。
現在は+2σに接近しており、①急落後1ヶ月間の②レンジ(82円-87円)上限に達しています。8月末から9月上旬にかけて大きく拡大③
したバンドは収束④
。バンドが再び拡大するかどうかが注目されます。拡大する+2σ(※1)に沿ったバンド・ブレイクアウトという強い地合いとなれば、急落前の8月末の水準である90円台⑤が目先のターゲットとなります。
バンド・ブレイクアウトというのは、ボリンジャーバンドの+2σを突破したタイミングで買いを入れるトレンド分析系(※2)の売買手法です。
ボリンジャーバンドは-2σで買って+2σで売却するといったオシレーター分析系(※3)の要素を持っていますが、+2σ突破のタイミングで買うというトレンド系の要素も持っているのです。
バンドが狭くなった状態すなわちボックス相場からの転換を試す場面では、よくバンド・ブレイクアウトが見られます。
8月下旬から9月上旬(バンドの拡大)③→9月中旬から10月上旬(バンドの収束)④ときていますので、足元バンドが拡大する可能性は高いと言えます。
一方、バンド・ブレイクアウトとならず失速したとしても、8月末のような世界的な株価下落の相場展開とならない限り、25日移動平均線が位置する85円20銭レベル⑥がサポートラインとなるでしょう。
(※1)σ(シグマ): ある一定の確率で値動きが収まりやすいレンジを『σ(シグマ)』と呼び、平均値からみて上のレンジを+1σ、下のレンジを-1σと呼びます。これを2倍したものが+2σ・-2σになります。σ(シグマ)をつないだ線をバンドと呼びます。
(※2)トレンド分析:
上がっているのか、下がっているのか株価の方向性を捉え、価格が上昇している場合、さらに上がることを期待して買う、流れに沿った投資を行うため順張りとも言う。
(※3)オシレーター分析:
相場の強弱感を判別する投資の考え方で、価格が上昇すると買われすぎ、と判断して売ることから逆張りとも言う。
米金利引上げ観測後退で資源が買戻される展開に
ドル、ユーロといった主要通貨が方向感を失いつつあるなか、豪ドルは反発基調を強めています。これは、アメリカが金利引上げを年内実施しないとの見方が優勢となったことから、過度なリスク回避の動きが後退し原油など資源(コモディティ)が買戻されている(=売りから入った投資家が買いを入れて売買を清算すること)ことが背景にあります。オーストラリアは鉄鉱石や石炭など資源を豊富に保有する国ですので、豪ドルはこうしたコモディティ価格の動向に左右される傾向があります。
少なくても年内はアメリカの緩和は継続するとの見通しから、過剰流動性相場(金余り相場)が続くと想定した投資家が買戻しを進めると原油など資源価格の上昇となり、資源を豊富に持っている国の通貨である豪ドルなど資源関連通貨が買われる、という流れとなります。
一方、資源価格が本格的に上昇するには、エネルギーを大量に消費する中国の景気減速懸念が払拭される必要があります。そのため
過剰流動性相場+中国景気減速懸念払拭=資源価格の本格的な回復=豪ドルの本格的な上昇
となるでしょうが、さすがに短期的(年内)にはそこまでの強い環境は期待できないかもしれません。
執筆者:フィスコアナリスト 田代昌之
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