ドル・円:ボックス圏下放れを試す展開に

  • メインターゲット:116.00円
  • サブターゲット:121.50円

ドル・円はバンド・ブレイクアウトとなる可能性も

ドル・円は8月末に急落した後、118円50銭から121円50銭のボックス圏で推移していました。15日の東京時間でこのボックス圏の下限を下抜けましたが、NYタイムでは反発。短いながらも下ひげを残す格好となっています。

ただ、ボリンジャーバンドでは、8月下旬以降、拡大していたバンドが収束。落ち着きを取り戻しつつ見えますが、15日のドル売りを受けてややバンドが拡大しそうな雰囲気が漂っています。拡大するバンドの-2σ(※1)に沿った下落となればバンド・ブレイクアウトつまりドル売りに傾きやすい状況となります。

バンド・ブレイクアウトというのは、ボリンジャーバンドの+2σを突破したタイミングで買いを入れるトレンド分析系(※2)の売買手法です。

ボリンジャーバンドは-2σで買って+2σで売却するといったオシレーター分析系(※3)の要素を持っていますが、+2σ突破のタイミングで買うというトレンド系の要素も持っているのです。

バンドが狭くなった状態すなわちボックス相場からの転換を試す場面では、よくバンド・ブレイクアウトが見られます。

しっかりとした日本株の動きがドル売りを抑制する可能性はありますが、早い段階で足元の均衡点である120円レベルを回復できなければ、ドル売り圧力が今後強まる可能性があります。その際のターゲットは8月24日につけた足元の安値116円となるでしょう。

一方、サブシナリオはドル売り一巡によるボックス相場の回帰となります。その際はボックス上限である121円50銭が意識されるでしょう。

(※1)σ(シグマ): ある一定の確率で値動きが収まりやすいレンジを『σ(シグマ)』と呼び、平均値からみて上のレンジを+1σ、下のレンジを-1σと呼びます。これを2倍したものが+2σ・-2σになります。σ(シグマ)をつないだ線をバンドと呼びます。
(※2)トレンド分析
上がっているのか、下がっているのか株価の方向性を捉え、価格が上昇している場合、さらに上がることを期待して買う、流れに沿った投資を行うため順張りとも言う。
(※3)オシレーター分析
相場の強弱感を判別する投資の考え方で、価格が上昇すると買われすぎ、と判断して売ることから逆張りとも言う。


FRB当局者のなかで利上げ先送りを示唆する発言が相次ぐ

ドル・円の動きが下向きとなった背景には、米FRB(連邦準備制度理事会)当局者による講演でハト派(利上げ先送り)のコメントが増えているからです。ブレイナードFRB理事は12日、「世界経済の減速や中国での混乱など国際リスクが米経済の足かせとならないことが明確になるまで利上げを見送るべき」との見解を示しました。また、タルーロFRB理事も13日、CNBCとのインタビューで「米経済は年内に利上げへの準備が整わない」とし、年内の実施に関しては「利上げが適切になるとは考えていない」と答えています。

一方、FRBの重鎮であるフィッシャーFRB副議長は11日、「米経済がFRBの目標である完全雇用の達成に向けて十分な雇用を創出している」と指摘。インフレ率はやがて上昇するとし、「FRBは依然として10月か12月に予想通り利上げを実施する見通しだ」と述べています。

中国景気の減速懸念やさえない米国経済指標が続いたことなどが影響し、米FRB当局者のコメントは利上げ先送り色が強まっています。決して利上げ先送りを主張する人だけでは無いのですが、積極的にはドル買いに転じにくいようです。

執筆者:フィスコアナリスト 田代昌之

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