ドル・円:リバウンド弱く、方向性に乏しい

  • メインターゲット:119.30(1/8、120.00からダウン)
  • サブターゲット:116.20(1/8と同じ)

テクニカル:25日線レベル止まりで買い一巡か

ドル・円のボリンジャーバンドでは、先週(1/8)も説明した『拡大する-2σ(シグマ)(※1)に沿ったバンド・ブレイクアウト(※2)がいったん終わり-1σレベルで推移しています。先週末に発表された12月の米国雇用統計は、市場予想を大幅に上回る内容となったことでドル売りは一服となりました。
ただ、一気に上値抵抗と見ていた120円台を回復するようなリバウンドは手控えられています(理由はファンダメンタルズで触れます)。

下がりはしないがリバウンドも弱い・・・。つまりドル・円は方向感に欠ける展開と言えます。

ドル売りが一服したことで、昨年8月につけた116円18銭は今後も強力な下値支持線(※3)として意識(116.20円レベルがサブターゲット)されそうです。一方、上値メドは、25日移動平均線が意識されます。

現在、119円75銭レベルで推移していますが、25日移動平均線は右肩下がりとなっていることでターゲットも徐々に下がっていくので、来週末には119円30銭辺り(メインターゲット)まで下がるでしょう。リバウンドの弱さを考慮するとこの25日移動平均線の水準まで反発するのがやっとではないかと考えます。






ファンダメンタルズ:原油価格の下落など、世界景気の不透明感が重しに




年初から人民元安、中国株の下落、原油価格など商品市況の下落、そして、日本を含め世界的な株安と「下落」「安」のオンパレードとなっています。
世界的な株安の引き金となったのは、中国景気減速懸念ですが、米国金利の引上げに伴う新興国景気の懸念や、中東地政学リスクなど様々な要因が複合的に絡み合っているのが現状です。

先週末の米雇用統計は前月比+29.2万人と市場予想(同+20万人)を大幅に上回る強い内容となりました。このタイミングでドル買いは進みましたが瞬間的な動きに留まりました。

リバウンドが弱い背景として、不安定な原油価格に伴う世界景気の不透明感が意識されているようです。

米国は今年3-5回ほど利上げを行うのではないかと言われていますが、米国景気だけではなく、米国と結びつきが強い中国、日本、欧州、新興国など様々な国の景気も米国利上げの判断要素となります。冒頭に申し上げた「人民元安、中国株の下落・・・」などを考慮すると米国が今年3-5回金利を引き上げることは困難と思われています。米国金利の引上げペースが落ちると、日米金利差はさほど拡大しないことからドル買い・円売りは進みにくくなります。

このロジックが現在のドル・円相場に当てはまっているのです。こうした不透明感は1週間や2週間では払拭されることは非常に稀ですので、1-2ヶ月ほどは方向感に乏しい展開が続く可能性があります。




(※1)σ(シグマ)
 ある一定の確率で値動きが収まりやすいレンジを『σ(シグマ)』と呼び、平均値からみて上のレンジを+1σ、下のレンジを-1σと呼びます。これを2倍したものが+2σ・-2σになります。σ(シグマ)をつないだ線をバンドと呼びます。

(※2)バンド・ブレイクアウト
ボリンジャーバンドの±2σを突破したタイミングで買い(-2σであれば売り)を入れるトレンド分析系の売買手法です。ボリンジャーバンドは-2σで買って+2σで売却するといったオシレーター分析系の要素を持っていますが、±2σ突破のタイミングで買うというトレンド系の要素も持っているのです。バンドが狭くなった状態すなわちボックス相場からの転換を試す場面では、よくバンド・ブレイクアウトが見られます。

(※3)支持線(サポートライン)、抵抗線(レジスタンスライン)
支持線とは株価がこの線の近くまでくると「下げすぎでは?」と下げ渋り、反発となるラインを指します。主に2つ以上の右肩上がりの谷が必要で、その谷同士を結ぶことによってラインができます。ちなみに山同士を結んだラインは抵抗線といいます。




執筆者:フィスコアナリスト 田代昌之

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