ユーロ・円:3月緩和観測強まり下落トレンドが継続

  • メインターゲット:124.00(10/30、137.00からダウン)
  • サブターゲット:127.00(10/30、130.00からダウン)

テクニカル:足元の安値を割り込み13年6月以来の円高水準に >

ユーロ・円を取り上げるのは約4ヶ月ぶりとなります。ユーロ、日本円ともに緩和を実施している通貨ですので方向性に乏しかったのですが、2月以降、動きが出始めています。ドル・円が10営業日で10円も円高に振れたことと比べると、ユーロ・円は6円ほどに留まっていますから小さな動きと言えるでしょう。ただ、実はユーロ・円は2月11日につけた足元の安値125.78円を下抜けているのです。13年6月以来の円高水準となっているユーロ・円は目先の下値メドが無くなった状態とも言えます。

ボリンジャーバンドでは、バンドがやや拡大していることから-2σ(※1)に沿ったバンド・ブレイクアウト(※2)となる可能性が警戒され、心理的な節目でもある125円台を割り込むと下に走る可能性はあります。移動平均線に着目しますと5日移動平均線、25日移動平均線、75日移動平均線ともに下向きとなっておりトレンドは下向きです。

下値メドが見えにくい状況ですが、昨年12月4日の134.50円と1月21日の126.17円の下落幅8.33円を1月29日の132.32円に合わせると123.99円という水準が算出されます。市場は下値メド(上値メド)を見失った際、下落幅(上昇幅)を意識する傾向がありますので、今回のメインターゲットは124.00円とします。一方、リバウンドが入った場合は5日移動平均線が位置する127.00円辺りがサブターゲットとなりそうです。

ファンダメンタルズ:ECBは3月にマイナス金利を拡大か

欧州中央銀行(ECB)は18日、1月開催の理事会議事要旨(何を議論したかなど)を公表しました。この要旨のなかで、次回会合となる3月の定例理事会でECBが追加緩和を講じる新たなヒントが見つかったのです。

1月20-21日に開催された理事会では、次回会合で現行の緩和策を再検証する必要があるとの方針を全会一致で決定しました。主なリスクは下方つまり下落するリスクで、リスクが具体化する前にリスクを考慮し予防的な措置が好ましいとの考えでまとまったもようです。12月の理事会から1月会合にかけて、主要株価指数であるユーロStoxx50インデックスは17%下落したほか、原油価格の下落、中国のイベントが世界経済へのリスクを高めています。

議事録のなかで、3月の追加緩和に関し、ドラギECB総裁がメンバー多数の支持を得たことが証明されました。ECBの議事要旨公表を控えた16日、ドラギ総裁は欧州連合(EU)議会証言において、インフレや成長を押し上げるため更なる行動も辞さない構えを示し市場の追加緩和期待を強めました。ユーロ圏の昨年10-12月期のGDPは0.3%成長にとどまったほか、4年間、ECBの目標値である2%成長を達成できすにいます。

タイミングよく、昨日OECD(経済協力開発機構)は主要先進7か国の成長見通しを従来の2.3%から2%成長へ下方修正しました。ユーロ圏は1.4%と昨年11月時点の1.8%から下方修正しています。さらに世界の成長見通しは実質的には横ばいと警告。先進国に対して、速やかに協調し強い行動をとるよう促しました。

市場では高い確率でECBが次回3月の理事会で追加の金融緩和を実施すると見ています。現行の-0.3%の預金金利を0.2%引き下げ‐0.5%に設定するのではないかとの声が聞かれます。日本は先月にマイナス金利を導入したばかりですが、ECBはマイナス金利では日本の一歩先をいっているわけです。同じ緩和通貨ですが、相対的にはユーロの方が安くなると思われます。

(※1)σ(シグマ)
 ある一定の確率で値動きが収まりやすいレンジを『σ(シグマ)』と呼び、平均値からみて上のレンジを+1σ、下のレンジを-1σと呼びます。これを2倍したものが+2σ・-2σになります。σ(シグマ)をつないだ線をバンドと呼びます。

(※2)バンド・ブレイクアウト
ボリンジャーバンドの±2σを突破したタイミングで買い(-2σであれば売り)を入れるトレンド分析系の売買手法です。ボリンジャーバンドは-2σで買って+2σで売却するといったオシレーター分析系の要素を持っていますが、±2σ突破のタイミングで買うというトレンド系の要素も持っているのです。バンドが狭くなった状態すなわちボックス相場からの転換を試す場面では、よくバンド・ブレイクアウトが見られます。

執筆者:フィスコアナリスト 田代昌之

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