豪ドル・円:G20通過で消去法的な買いが入る可能性も

  • メインターゲット:85.00(12/25、88.50からダウン)
  • サブターゲット:80.00(12/25、86.200からダウン)

テクニカル:上値抵抗線の25日線突破を試す格好に

豪ドル・円の日足チャートを見てみましょう。他の先進国の通貨同様、上値を切り下げる弱いトレンドが見られます。日本が祝日だった2月11日は市場参加者が非常に少なかったことで値動きが激しくなり77円59銭まで円高・豪ドル安が進行しました。ただ、長い下ひげを残しすぐに80円台を回復しています。ボリンジャーバンドの-2σ(※)で、下ひげを形成したことから一気に反発と、いきたいところですが、原油価格が引続き不安定なことから資源通貨である豪ドルの上値は重くなっています。豪ドルがしっかりとした推移をみせるには原油価格の安定化が必須というのが市場の見方です。

25日移動平均線が上値抵抗線として意識されていますが、明日まで開催されるG20をきっかけに原油価格が上昇する可能性があります。原油価格の上昇をきっかけに豪ドルが買われ、足元の上値抵抗線を上抜くかもしれません。その際のターゲットとして、75日移動平均線が位置する85円辺りが意識されるでしょう。一方、サプライズ無しで原油価格が下落となれば、豪ドルも売りが優勢となるかもしれません。その際は、下ひげ形成後の狭いボックス相場の下限である80円を意識した展開となりそうです。

ファンダメンタルズ:G20で前向きな強調体制の確立は難しい?

本日26日から明日27日まで、中国・上海にて20ヶ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が開催されます。2月上旬辺りから、市場では足元の荒い相場状況に対してG20でなんらかの方向性が示されるのではないかとの期待感が浮上していました。

■G20のポイントは5つ
麻生財務相は2月19日に「G20では中国経済や原油安、米国の金利政策について議論」とコメントしています。今回のG20でポイントとなりそうな項目は下記の内容と考えます。

・中国経済減速懸念
・原油価格の安定化
・米国の金利引上げに関して
・東アジアの安定化
・英国EU離脱懸念

上から4つは年始からの下落局面で度々問題視され下落要因と見られていた項目ですが、最後の「英国EU離脱懸念」は先週末に具体化した新たな不透明要因です。

英国のEU離脱の是非についてですが、キャメロン首相は当初から英国が一定の権限をEUから取り戻したうえで国民投票を行い、EUに残留する狙いがあったとみられています。一方、キャメロン首相の盟友とも言われているロンドン市長など有力政治家が離脱支持を表明したため、足元、英国のEU離脱に現実味が増した格好と言えます。英国がEUから離脱した場合、国際金融センターであるロンドンの地位低下は避けられないことやEU向けの輸出減少によって経済が停滞するリスクが増大することになるとみられています。

G20では、こうした不透明要因に対する各国の協調体制が確立するとの声が聞かれますが、3月に日米欧が金融政策決定会合を開催することから、市場の雰囲気を一変させる協調体制の確立は難しいとの見方もあります。3月10日のECBでは、追加の金融緩和が実施される公算が大きい一方、15-16日の米FOMCは金利引上げ見送りが市場コンセンサスとなるなど欧米の金融政策の方向性はある程度見えています。ただ、14-15日の日銀金融政策決定会合に関しては、追加の金融緩和実施を見極めるのは非常に難しいと言えるでしょう。いまだに東京株式市場がマイナス金利導入を消化しきれていないことを考慮すると何らかの策を打つのではないかという声がある一方、マイナス金利導入の効果を確認するためにある程度時間を置くとの指摘もあります。

こうした金融政策のしがらみを考えますとG20で前向きな話が出る可能性は低いかもしれませんが、ユーロ、ドル、円以外の通貨や原油に関しては、目の前の不透明要素が一つ無くなることから、消去法的(他に買う通貨が無いので、仕方なく買う)な買いが向かう可能性はあります。G20で目立ったニュースが伝わらなくても、豪ドルは意外としっかりとした推移が見られるかもしれません。

(※)σ(シグマ)
 ある一定の確率で値動きが収まりやすいレンジを『σ(シグマ)』と呼び、平均値からみて上のレンジを+1σ、下のレンジを-1σと呼びます。これを2倍したものが+2σ・-2σになります。σ(シグマ)をつないだ線をバンドと呼びます。

執筆者:フィスコアナリスト 田代昌之

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