ポンド・円:テロ発生でEU離脱懸念が高まる

  • メインターゲット:156.30円(初)
  • サブターゲット:164.00円(初)

テクニカル:ポンドのトレンドは弱いまま

ポンド・円は本レポート初登場となります。値動きが大きいことから個人投資家には人気の通貨ですが、足元のポンド・円はさえない展開となっています。2月安値をボトムとした反発が見られましたが、ベルギーのテロ発生によって右肩下がりの展開が続きそうな状況です。25日移動平均線は右肩下がりでトレンドは弱いままです。ボリンジャーバンドでは、-2σ(※1)が156.30円辺りで推移しています。この水準は2月安値とほぼ同じですので、心理的には意識されやすいレベルと言えるでしょう。足元のポンド売りは一服していますが、新たなテロの話などネガティブな材料が伝わった際には再度ポンド売りが加速する可能性は十分あります。

目先のターゲットとしては-2σが位置する156.30円が意識されるでしょう。一方、テロへの警戒感が後退しポンド買いに転じたとしても3月の戻り高値164.00円辺りで一服となりそうです。積極的な買いが入るというよりは売り方による買戻しに留まるという印象です。その要因は6月にEU離脱の是非を問う国民投票を控えているからです(詳細はファンダメンタルズで)。不透明な要因を抱えているときはポジションを調整するような売買に留まることで方向性に乏しくなりがちです。それまで続いていたトレンドがゆっくりと続くケースも多いことから、6月まで下げトレンドが継続するかもしれません。


(※1)σ(シグマ)  ある一定の確率で値動きが収まりやすいレンジを『σ(シグマ)』と呼び、平均値からみて上のレンジを+1σ、下のレンジを-1σと呼びます。これを2倍したものが+2σ・-2σになります。σ(シグマ)をつないだ線をバンドと呼びます。

ファンダメンタルズ:テロで揺れる欧州通貨

3月22日にベルギーの首都ブリュッセルで発生したテロは、昨年11月13日(日本時間同14日)に発生したパリの事件に続き世界を震撼させています。金融市場では、欧州通貨が大きく値を切り下げる一方、「有事のドル買い」のような動きが見られました。過激派組織「イスラム国」と欧米によるテロとの戦いは今後長引くとみられますが、欧州通貨はどのような影響を受けるでしょうか?

まず、欧州通貨のうちユーロは、今後欧州経済が持ち直しても絶えずテロへの警戒が売り材料となり、買われにくい通貨となるでしょう。また、テロの懸念はポンドの押し下げ要因ともなります。英国の欧州連合(EU)離脱を支持する勢力が勢い付くことで、6月23日の国民投票では金融市場が強く嫌気する離脱という結果になりかねません。一部報道では、離脱派と残留派は拮抗しているとのことです。英国自身がテロ対象国のため、EUを離脱したからといって対象から外れることはないと思われますが、少しでもリスクを軽減したいという判断に傾くかもしれません。テロへの懸念が払拭されないことでユーロとポンドは今後も弱い動きを見せる可能性があります。そして、国民投票を控えていることからポンドはより売られやすい通貨と見られるでしょう。




執筆者:フィスコアナリスト 田代昌之

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