ポンド・円:「パナマ文書」がポンド売りを誘う
- メインターゲット:156.30円(3/25、156.30から引き下げ)
- サブターゲット:164.00円(3/25、164.00から引き下げ)
テクニカル:短期的には心理的な水準である150.00円を意識
ポンド・円は売り圧力が強まっており下落トレンドが強まっています。現在の水準は2013年9月以来となりますので、2年半ぶりの円高水準となります。下値模索①となっておりターゲットを設定するのは非常に難しい状況と言えるでしょう。日足のボリンジャーバンドでは、拡大する-2σ(※1)を上回るスピードで下落しています。すなわち「バンド・ブレイクアウト」(※2)が示現②していることから、売り圧力が非常に強いトレンドと言えるでしょう。
下値模索の相場展開となっていますが、先週末の水準から比較すると既に10円も下落していますから、短期的には下げ過ぎと見ても良さそうな状況です。下げトレンドのなかでも下げ渋る場面というのは常に見られます。今回は心理的な節目でもある150.00円③が短期的な下値メドとして意識されるのではないでしょうか?心理的な水準と書いていることからお分かりのように、一目均衡表や移動平均線といった明確なテクニカルラインではありません。極端な表現をしますと「きりのいい数字」といったレベルです。ただ、下げ相場のときは、心理的要因からかこうした水準が思いのほか意識されますので、150.00円を今回のメインターゲットとします。一方、この水準に到達すると短期的な反発が入る可能性があります。その際、5日移動平均線の155.00円あたりがリバウンドのメド③となるでしょう。こちらはサブターゲットとします。
σ(シグマ)
ある一定の確率で値動きが収まりやすいレンジを『σ(シグマ)』と呼び、平均値からみて上のレンジを+1σ、下のレンジを-1σと呼びます。これを2倍したものが+2σ・-2σになります。σ(シグマ)をつないだ線をバンドと呼びます。
※2バンド・ブレイクアウト
ボリンジャーバンドの±2σを突破したタイミングで買い(-2σであれば売り)を入れるトレンド分析系の売買手法です。ボリンジャーバンドは-2σで買って+2σで売却するといったオシレーター分析系の要素を持っていますが、±2σ突破のタイミングで買うというトレンド系の要素も持っているのです。バンドが狭くなった状態すなわちボックス相場からの転換を試す場面では、よくバンド・ブレイクアウトが見られます。
ファンダメンタルズ:「パナマ問題」は英キャメロン政権に打撃
足元話題となっている「パナマ文書」の問題は長引きそうな印象があります。パナマの法律事務所から金融関連の文書が流出し、世界各国の政治家などが英領バージン諸島などのタックスヘイブンを通じて租税を回避していたと指摘されています。早速アイスランド首相が辞任を表明したことから、文書が本物であると証明された感もあります。アメリカのオバマ大統領は、課税逃れが合法であること自体が問題だとして対策を強化する考えを示しましたが、各国の為政者の名前が指摘されていることで火消しには相当の時間がかかりそうです。
今回「パナマ文書」にキャメロン英首相の亡父の名が挙がったことでキャメロン政権が揺らいでいます。ただでさえ、6月のEU離脱の是非を問う国民投票実施で英国株やポンドが不安定となっているなか、新たなポンド売りの材料が出たわけですので仕方無い状況かと思います。違法性はないとはいえ為政者や周辺関係者によるタックスヘイブンを利用した課税逃れや、資金洗浄は有権者の強い批判にさらされるでしょう。キャメロン首相の求心力低下は必至で、今後退陣の可能性が高まればポンド売りは強まるかもしれません。
執筆者:フィスコアナリスト 田代昌之
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