ドル・円:英EU離脱ショックで歴史的な急落相場に

  • メインターゲット:104.00円(6/3、111.00円から引き下げ)
  • サブターゲット:99.00円(6/3、107.80円から引き下げ)

テクニカル:長い下ひげを形成、リバウンドに期待

ドル・円は、英EU離脱がほぼ決まったこと(ファンダメンタルズを参照)から、リスク回避の円買い(金利の低い円を買う動き)が進んでいます。12時前には、一時99円02銭まで円高ドル安が進む場面が見られました。一部では「有事のドル買い(今回のようなショックの際には世界で最も信頼性が高い通貨を買う動き)」が入っていることで、ユーロやポンドに比べると円高加速は小さいものに留まっていますが、朝方の106円から99円ですので滅多に見ることがない開きとなっています。

テクニカル分析での下値メドを一気に下抜けたことから、ドル・円は下値模索の動きが強まる可能性があります。ただ、99.02円をつけた後は下げ幅を縮小していることから下ひげ(下影)(※1)を残しています。3円近くの長いひげは早々見られません。歴史的な下落相場となっていますが、下ひげの長さも歴史的と言えます。

市場では、あまりにも急激な円高進行を受けて、何らかの政策(ファンダメンタルズを参照)を打ち出すとの期待が高まっています。今回の強烈な下落をボトムとした短期的なリバウンドが入る可能性は十分あります。積極的には売買しにくい地合いではありますが、政策実施の際、ドル・円は足元もみ合っていた104円台を回復するでしょう。一方、政策実施が見送られた場合は、本日の安値99.02円を意識した急落が想定されます。104円回復をメインシナリオ99.00円をサブシナリオとします。


※1下ひげ(下影陽線、下影陰線) 上昇を暗示するローソク足。売りを受けて下落したものの、売り一巡後は買い方に押され反発した形状。影(ひげ)が長ければ長いほど下落が強かったことを意味する。下落局面の株価が安値圏で下ひげを残すと大底を打ったと見られるケースが多い。

ファンダメンタルズ:各中央銀行が協調的な金融政策を打ち出すはず

23日に実施された英国の欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票では、離脱派が残留派を上回る格好となりました。東京時間の午後12時30分過ぎの時点で、英BBCが「離脱はほぼ決定」と伝えたことから、為替市場ではリスク回避の円買いと、ポンド、ユーロなど欧州通貨売りが強まりました。ポンド・ドルに関しては、実に85年以来の水準まで下落しています。歴史的な暴落相場となりました。> 東京時間24日の14時時点では、英国政府は正式なコメントを発表していません。今後の展開としては、リーマン・ショック時に発生した流動性の低下(資金枯渇)を回避するために、ドル、ユーロ、ポンド、円など主要通貨の流動性を保つ資金供給を各国中央銀行が連携して実施すると思われます。

そして、ドル・円が一時100円を割り込むような厳しい円高状況(ユーロ、ポンドは対円でもっと動いています)となっていることから、協調的な為替介入(日本単独ではない為替介入)が実施される可能性があります。13時15分に行った麻生財務大臣の緊急記者会見では、「極めて憂慮」「緊張感を持って注視」「協調介入に関して申し上げる段階にない」とコメントしていました。まだ、英国政府が正式なコメントを出していないことから積極的な発言はありませんでしたが、各国中央銀行は事前準備を進めていたはずですので、何らかの政策を打ち出すでしょう。ひょっとしたら週末に臨時の日本銀行の金融政策決定会合が開催されるかもしれません。こうした流れを考慮しますと、早ければ今週末、遅くても週明けには各国中央銀行による政策がでてくるのではないかと思います。




執筆者:フィスコアナリスト 田代昌之

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