ユーロ・円:今後発表される経済指標には要注意

  • メインターゲット:117.00(6/10、126.00から引き下げ)
  • サブターゲット:110.00(6/10、113.40から引き下げ)

テクニカル:経済指標への懸念からさえない展開か

ユーロ・円は、ポンドを除く主要通貨と比べると戻りが遅くなっています。英EU離脱(Brexit)の影響を受けた経済指標がこれから続出することから、低めに見られていた予想をさらに下回るのではないかとの懸念が重しになっているようです。日足チャートでも75日移動平均線のだいぶ手前で失速しています。

日足の一目均衡表では、転換線(※1)が基準線(※2)を上抜いていますが、遅行スパン(※3)は実線より下を推移しています。いまいち反発基調が強まりにくい展開と言えます。トレンドが弱いままですので、もちろん雲への突入は果たせないままです。4月末の高値を起点とした上値抵抗線が位置する120.00円レベルが今後の重要なポイントとなりそうです。

雲下限が徐々に切り下がることから、雲上抜けのハードルは下がっているのですが、突破にはまだしばらくかかりそうな雰囲気です。117.00円レベルまで切り下がる雲上限を下値支持線とできるか、はたまた上値抵抗線となるかが重要なポイントとなります。経済指標の悪化などマイナスの材料が控えている状況下、雲上限は上値抵抗線としてみておいたほうがいいでしょうか。今回はメインシナリオを117.00円サブシナリオを心理的な節目である110.00円とします。

※1転換線
過去9日間の最高値と最安値の中心値を結んだ線で、短期的な相場の方向性を示します。

※2基準線
過去26日間の最高値と最安値の中心値を結んだ線で、中期的な相場の方向性を示します。
例えば、ドル・円相場の過去26日間の最高値が120円、最安値が100円だった場合、基準値は110円となります。

※3遅行スパン
当日の終値を26日前に記入します。
「前日比」は当日の価格と前日の価格を比較したものですが、「遅行線」は当日の価格と26日前の価格を比較していることになります。

先行スパン1
基準線と転換線の中心を、26日先に先行させて記入します。
基準線は過去26日間の中心、転換線は過去9日間の中心ですが、先行スパン1はそれぞれの中心となります。

先行スパン2
過去52日間の最高値と最安値の中心を、26日先に先行させて記入します。
先行スパン1と先行スパン2に囲まれた部分を「雲」と呼びます。


ファンダメンタルズ:ECBによる追加の金融緩和は年内実施の公算

欧州中央銀行(ECB)は21日、市場の予想通り金融政策を現行で据え置くことを決定しました。ドラギ総裁は英国の欧州連合(EU)離脱が「回復の逆風になる」と警告したものの、「初期の調査によるとBREXITがインフレ見通しに主要な影響を与えている様子が見られない」「英国のEU離脱には数年を要する」と指摘し、現在のところ、その影響をさほど重要視していません。

ただ、問題が発生した場合、「必要とあれば、ECBが行動する用意、意向、能力がある」と強調しています。資産購入プログラムにはかかせないドイツ連邦債の利回りの低下が継続する中、期待されていた購入対象となる条件の緩和は発表されなかった。対象となる証券の不足は依然懸念材料になります。市場の追加の金融緩和観測も払拭されてはおらず、年内のどこかでは実施するのではないかと見られています。

大手証券のエコノミストは、「ECBが次回9月の定例理事会で預金金利を現行のマイナス0.4%から10ベーシスポイント引き下げマイナス0.5%に決定すると同時に、現在少なくとも17年3月としている量的緩和(QE)の期限を2017年9月まで延長するだろう」と見ています。また、バークレイズのエコノミストは9月理事会までに、英国のEU離脱決定による影響の情報がさらに得られることになると指摘。QEの期限を17年3月から6-9か月延長することになるだろうと見ているようです。

執筆者:フィスコアナリスト 田代昌之

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