ドル・円:日銀会合で荒い値動きも想定内

  • メインターゲット:107.00円(7/15、108.00円から引き下げ)
  • サブターゲット:102.70円(7/15、103.00円から引き下げ)

テクニカル:下げトレンドからの転換を試す展開に

ドル・円は、日本銀行による金融政策決定会合に絡んだ思惑(詳細はファンダメンタルズで)などから、102円台に突入する場面も見られました。本日は上下に3円ほど動く展開となっていますが、ほぼ想定通りの振れ幅と言えます。6月24日の英国の欧州連合(EU)離脱の際は、1日に7円動きましたので、本日はその半分以下ですから市場関係者もさほど慌てていない様子です。本当は1日3円動くことも凄い動きなのですが。

日足の一目均衡表では、朝方、雲上限を上回っていたのですが、日銀会合の結果を受けて雲下限を下回っています。雲上限を上回るのは昨年12月以来のことだったのですが、瞬間的な動きに留まりました。ただ、雲上限突破に失敗したと考えるのは時期尚早のようです。基準線(※1) が下値支持線として意識されて下げ渋っているからです。現段階では、雲上限突破に伴う下落トレンドの転換は確認できませんが、6月24日の安値99.02円をボトムとした反発基調が今後見られる可能性はあります。

日銀が追加の金融緩和のカードを残したことも材料視されるでしょう(ファンダメンタルズにて)。下げトレンドからの転換を想定して、メインシナリオを足元の高値である107.00円とします。一方、本日の安値である102.70円をサブシナリオとします。

※1基準線
過去26日間の最高値と最安値の中心値を結んだ線で、中期的な相場の方向性を示します。
例えば、ドル・円相場の過去26日間の最高値が120円、最安値が100円だった場合、基準値は110円となります。

転換線
過去9日間の最高値と最安値の中心値を結んだ線で、短期的な相場の方向性を示します。

遅行スパン
当日の終値を26日前に記入します。
「前日比」は当日の価格と前日の価格を比較したものですが、「遅行線」は当日の価格と26日前の価格を比較していることになります。

先行スパン1
基準線と転換線の中心を、26日先に先行させて記入します。
基準線は過去26日間の中心、転換線は過去9日間の中心ですが、先行スパン1はそれぞれの中心となります。

先行スパン2
過去52日間の最高値と最安値の中心を、26日先に先行させて記入します。
先行スパン1と先行スパン2に囲まれた部分を「雲」と呼びます。

ファンダメンタルズ:日銀は追加の金融緩和カードを残す

本日の午後、開催されていた日本銀行による金融政策決定会合の結果内容が発表されました。現在、年間で3.3兆円買い入れているETFを、年間6.0兆円に拡大するという追加の金融緩和を実施する格好となりました。市場では、マイナス金利幅の拡大や国債買入枠の拡大などが期待されていましたが、発表内容はこちらのみです。

市場コンセンサスには届かない内容となりましたが、今年多く見られた結果内容発表のタイミングでの日本株急落は回避されています。この理由として2つ考えられます。ひとつは、追加の金融緩和を実施したという事実です。安倍政権が28兆円という経済対策を実施する方針を打ち出した後、日銀が追加の金融緩和を実施したことから、政府・日銀がタッグを組んでデフレに対応するという姿勢が確認できたわけです。政府・日銀の協力体制を市場は安心したのかもしれません。

そして、もうひとつは、今回ETFの買入枠の拡大のみ(金融機関の外貨調達資金の強化も発表していますが、こちらはほぼ材料視されない内容ですので省きます)に終わったことから、追加の金融緩和のカードを手元に残したという意味合いにもとれます。市場で話題となっていたのは「ヘリコプターマネー(ヘリマネ)」です。ヘリマネを意識した50年債券の発行などは、今後議論されるかもしれないといった期待感が残ったわけです。実施するしない、そして、購入する金融機関は生保系しかないから流動性は低い等色々あるでしょうが、少なくてもカードは残しました。まだ打つ手はあるとの期待感などが、日本株の下支えとなっているのでしょう。ドル・円が102円台に突入するなど円高に振れていますが、これは28日のFOMC後、米国の早期金利引き上げ期待が後退していることが要因と考えられます。ただ、上記のような期待感などを受けて日本株がしっかりとした推移となれば、ドル安円高が加速する展開は回避できるかもしれません。





執筆者:フィスコアナリスト 田代昌之

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