ドル・円:早期の利上げ期待が高まるか注目

  • メインターゲット:107.49円(8/5、104.00円から引き上げ)
  • サブターゲット:101.50円(8/5、99.02円から引き上げ)

テクニカル:今年初の75日移動平均線上抜けを試す展開に

足元のドル・円は、103円台で推移しています。1日の欧米市場では一時、1ドル104.00円ちょうどをつける場面が見られましたが、米国の経済指標の悪化を受けてドル買いは一服。25日移動平均線を上抜け、強い反発となったドル・円は、75日移動平均線に頭をおさえられた格好となっています。

昨年12月に、75日移動平均線を下抜けて以降、これまで3回(2月、5月、7月)、突破を試す場面が見られましたが、いずれも明確に上抜けることはできませんでした。今年初の75日移動平均線上抜けとなれば、200日移動平均線が位置する111.00円辺りを目指した反発が続く可能性はあります。ただ、現在の水準は103.30円レベルですので、一気に111.00円を目指すのは難しいでしょう。75日移動平均線を上抜いた際は、7月戻り高値107.49円がターゲットとして意識されるでしょう。

反発基調が強まる要因として、米金利引き上げへの期待感が高まることが挙げられます。本日は8月の米雇用統計が発表されますので、ドル・円は上下に動意付く可能性が高くなっています(ファンダメンタルズ参照)。メインシナリオを上記の107.49円とします。一方、米雇用統計の内容が期待を大きく下回る内容だった場合は、米金利引き上げ期待が低下し、25日移動平均線が位置する101.50円レベルが意識されるでしょう。この水準をサブシナリオとします。

ファンダメンタルズ:注目は3ヶ月平均の増加人数と平均時給の伸び

本日の21時30分に、8月の米雇用統計が発表されます。市場予想(市場コンセンサス)は、失業率が4.8%(前回4.9%)、非農業部門雇用者数は+18.0万人(同+25.5万人)、平均時給は前月比+0.2%(同+0.3%)と予想されています。ここ最近、市場コンセンサスと実際の数字との乖離が大きいことから、結果が伝わっても上下どちらに動くのかわかりにくくなっています。市場関係者が、期待感と警戒感どちらにバイアスを傾けているかで結果は大きく変わってきます。今回は、8月のADP全米雇用報告の内容が良かっただけに期待感が先行しているようです。

7月の+25.5万人と比較すると伸び率は鈍化する見通しですが、直近3ヶ月の平均が節目の20.0万人を超えているかと平均時給の伸び率がポイントとなりそうです。6月は前月比+28.7万人、7月は同+25.5万人のため、多少7月の数値が下方修正されたとしても、8月を含めた3ヶ月平均が20.0万人を超える公算は大きいと思われます。

一方、平均時給の市場コンセンサスは、前月比+0.2%と7月(+0.3%)よりも鈍化が見込まれています。ただ、ワシントンDCでは、時給を11.5ドルから15.0ドルへの最低賃金引き上げ法案が7月から施行されました。また、2022年と先の話だが、カリフォルニア州議会でも最低賃金を15.0ドルに引き上げることを承認している。米国では最低賃金引上げの動きは活発化していることから、平均時給が堅調な伸び率を示す可能性はあります。

9月時点での利上げを実施するうえでは、3ヶ月平均が節目の20.0万人を超えることと、平均時給の堅調な推移が重要なポイントになると思われます。




執筆者:フィスコアナリスト 田代昌之

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