ユーロ・ドル:金融緩和見送りでユーロ優勢か

  • メインターゲット:1.160ドル
  • サブターゲット:1.100ドル

テクニカル:三角もち合い上放れを試す展開に

足元のユーロ・ドルは、1.12ドル台で推移しています。やや歪ではありますが、6月安値と高値をそれぞれ起点とした三角もち合いを形成中です。上下どちらに放れるかが注目されますが、どちらかというと上放れの可能性のほうが高いと考えます。

それは日足の一目均衡表が関係しています。雲上限を上放れているほか、遅行スパン(※1)は実線を上抜いています。転換線(※2)は基準線(※3)とのもみ合いとなっていることから、三役好転の強い買いサイン示現というわけではありませんが、悪くない形状とは言えます。また、移動平均線で見ても5日、25日、75日移動平均線ともに上抜いています。こうした移動平均線や、雲上限をサポートに三角もち合いの上放れが期待できると考えます。8日には8月26日以来となる1.130ドル台まで上昇しました。やや上影(上ヒゲ)を残していますが、上を意識した格好といえるでしょう。

メインターゲットは、8月戻り高値1.136ドル水準、6月戻り水準1.140ドルを突破し、5月戻り高値水準の1.160ドルとします。一方、三角もち合い下放れとなりサポートの雲上限などを下抜けた際、7月安値水準である1.100ドルが意識されそうです。この水準をサブターゲットとします。

※1遅行スパン
当日の終値を26日前に記入します。
「前日比」は当日の価格と前日の価格を比較したものですが、「遅行線」は当日の価格と26日前の価格を比較していることになります。

※2転換線
過去9日間の最高値と最安値の中心値を結んだ線で、短期的な相場の方向性を示します。

※3基準線
過去26日間の最高値と最安値の中心値を結んだ線で、中期的な相場の方向性を示します。
例えば、ドル・円相場の過去26日間の最高値が120円、最安値が100円だった場合、基準値は110円となります。

先行スパン1
基準線と転換線の中心を、26日先に先行させて記入します。
基準線は過去26日間の中心、転換線は過去9日間の中心ですが、先行スパン1はそれぞれの中心となります。

先行スパン2
過去52日間の最高値と最安値の中心を、26日先に先行させて記入します。
先行スパン1と先行スパン2に囲まれた部分を「雲」と呼びます。


ファンダメンタルズ:ECBも2%のインフレ率達成は難しい

8日、欧州中央銀行(ECB)理事会の結果とドラギECB総裁の記者会見が実施されました。ドラギ総裁は「資産買い入れプログラム延長を議論せず」「当面は追加刺激策必要ない」とコメントしました。つまり「現状維持」です。月間800億ユーロの資産買入を2017年3月まで続けるとのことです。今回の理事会では、資産買い入れプログラムの期間延長について議論されなかったようですが、ドラギ総裁は「理事会は当該委員会に対し、買い入れプログラムの円滑な実施を確実にするための選択肢を検討するよう指示した」と述べています。市場関係者の間では、6カ月かそれ以上の期間延長が12月8日に開かれる理事会で決定されるとの見方が強まっています。

なお、ECBが公表したスタッフ予想では、2017年の成長率とインフレ見通しはやや引き下げられました。ユーロ圏のインフレ見通しは1.2%、成長率見通しは1.6%と予想されている。インフレ見通しについては、2018年時点でも1.6%にとどまると予測されており、2%レベルの到達は難しい様子です。買い入れプログラムの期間を延長しても、インフレ見通しが大幅に改善する(インフレ率の上昇)ことは期待できないとの声が高まっています。一部の市場関係者は、「2%のインフレ目標の妥当性についてECBは議論すべきではないか?」とも指摘しています。日銀もですが、ECBも2%というインフレ率の目標を達成するのは難しいようです。




執筆者:フィスコアナリスト 田代昌之

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