ドル・円:週明けの日米金融政策を材料に反発を試す展開へ

  • メインターゲット:104.00円(9/2、107.49円から引き下げ)
  • サブターゲット:100.00円(9/2、101.50円から引き下げ)

テクニカル:三角もち合い上放れを試す展開に

足元のドル・円は、102円台でのもみ合いとなっています。日足チャートでは、75日移動平均線が上値抵抗ラインとなっている一方、25日移動平均線が下値支持線として機能しています。右肩下がりですが、下値はなんとか切り上げていることから、三角もち合いを形成しているとも言えます。もち合いを放れる材料として、来週の日米金融政策の結果が挙げられます(ファンダメンタルズ参照)。

日足の一目均衡表では、雲下限が上値抵抗線として意識されています。遅行スパンは実線でのもみ合いとなっていますが、じりじりと下値を切り上げている形状を見る限り、弱いトレンドとは言えないと思います。かといって強気でもありませんので、まさに三角もち合い、方向感に乏しい状況です。

三角もち合いを上か下かに放れるタイミングでは、ほぼ必ずといっていいほど出来高が増加します。為替ですので出来高を正確に把握するのは難しいですが、もみ合い放れの際は勢いがこれまでとは異なりますから、値動きの強さで判断は可能です。ちなみに、今回は一目均衡表の雲上限上抜けをもって、三角もち合い上放れと判断してもいいでしょう。今回のメインターゲットは9月高値水準の104.00円サブターゲットは目先の下値支持となっている100.00円とします。

遅行スパン
当日の終値を26日前に記入します。
「前日比」は当日の価格と前日の価格を比較したものですが、「遅行線」は当日の価格と26日前の価格を比較していることになります。

転換線
過去9日間の最高値と最安値の中心値を結んだ線で、短期的な相場の方向性を示します。

基準線
過去26日間の最高値と最安値の中心値を結んだ線で、中期的な相場の方向性を示します。
例えば、ドル・円相場の過去26日間の最高値が120円、最安値が100円だった場合、基準値は110円となります。

先行スパン1
基準線と転換線の中心を、26日先に先行させて記入します。
基準線は過去26日間の中心、転換線は過去9日間の中心ですが、先行スパン1はそれぞれの中心となります。

先行スパン2
過去52日間の最高値と最安値の中心を、26日先に先行させて記入します。
先行スパン1と先行スパン2に囲まれた部分を「雲」と呼びます。


ファンダメンタルズ:米金利引き上げは先送りで、日本はマイナス金利の深掘りか

来週20-21日に、日銀金融政策決定会合(日銀会合)と米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催されます。株式、為替市場での関心は非常に高く、足元の相場の最大の不透明要因となっています。

最近のコメントなどを見ますと、FOMCメンバー10人中、タカ派(利上げに積極的)のほうがやや多い様子です。ただ、タカ派もしくはタカ派に転じたダドリー氏、ジョージ氏、メスター氏、イエレン氏、フィッシャー氏の発言は、8月の米雇用統計発表前です。つまり6日のISM非製造業景況指数の悪化などは織り込んでいないことから、さほどタカ派に傾いていない可能性があります。

CMEが算出するFF金利先物を確認すると、9月利上げの確率は僅か15%に留まっています。昨年12月の利上げ時、FF金利先物は7割超まで高まっていたことを考慮すると9月の利上げ実施は見送りとなりそうです。仮に利上げを実施した際、市場は利上げ実施を織り込んでいないことから、強烈な株安、ドル買い円安が進行するでしょう。ボラティリティが急騰し、リスク回避の流れが強まると考えます。

一方、同日ながら時差の関係で一足先に開催される日銀会合においては、マイナス金利の深掘りが金融政策の軸となる見通しです。マイナス金利の深掘りとなれば、為替市場では円安ドル高が進みやすくなる一方、株式市場では、メガバンクを筆頭に銀行株が売られる可能性が高いかもしれません。マイナス金利深掘りをけん制する発言が金融業界などから出るかもしれませんが、日銀会合の1週間前から市場に観測報道が伝わっていることを考慮すると、それなりに現実味は高いと見ておいたほうが良さそうです。流れとしては、日銀会合でマイナス金利深掘りとなれば、ドル買い円売りが加速。一方、米国では金利引上げが先送りとなりドル買い円売りは一服するといったイメージです。




執筆者:フィスコアナリスト 田代昌之

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