ドル・円:金利見通し引き下げでドル売り優勢か

  • メインターゲット: 99.02円(9/16、100.00円から引き下げ)
  • サブターゲット:102.79円(9/16、104.00円から引き下げ)

テクニカル:弱いトレンドが継続

足元のドル・円は、101円レベルで推移しています。22日には100円10銭まで円高ドル安が加速しました。米国が金利見通しを下方修正したことが影響しています(ファンダメンタルズを参照)。100円という心理的な節目を割り込むと、株式市場もさえない動きとなることから円高が加速する可能性もあります。

日足チャートでは、75日移動平均線に頭をおさえられ25日移動平均線を下抜けていますが、100円レベルが下値支持線となっています。今年に入り、6月、7月、8月と3回100円を割り込む場面が見られましたが、それ以上下に走る動きは見られません。100円割れでは値ごろ感(買いやすさ)などが意識されて買いが入りやすいことが想定されます。ただ、下向きのトレンドが徐々に強まっていることから、そろそろ下放れを警戒しておく必要もあります。 > 日足の一目均衡表では、雲下限を下放れています。遅行スパン(※1)は実線でもみ合っていますが、三役逆転の売りサインが出そうな状況です。トレンドが下向きとなっていることから、今年の安値である6月24日の99.02円レベルを探る動きを警戒したいところです。メインターゲットは99.02円サブターゲットは21日の日銀会合の結果発表後につけた102.79円とします。

※1遅行スパン
当日の終値を26日前に記入します。
「前日比」は当日の価格と前日の価格を比較したものですが、「遅行線」は当日の価格と26日前の価格を比較していることになります。

転換線
過去9日間の最高値と最安値の中心値を結んだ線で、短期的な相場の方向性を示します。

基準線
過去26日間の最高値と最安値の中心値を結んだ線で、中期的な相場の方向性を示します。
例えば、ドル・円相場の過去26日間の最高値が120円、最安値が100円だった場合、基準値は110円となります。

先行スパン1
基準線と転換線の中心を、26日先に先行させて記入します。
基準線は過去26日間の中心、転換線は過去9日間の中心ですが、先行スパン1はそれぞれの中心となります。

先行スパン2
過去52日間の最高値と最安値の中心を、26日先に先行させて記入します。
先行スパン1と先行スパン2に囲まれた部分を「雲」と呼びます。

ファンダメンタルズ:米国は想定通りの利上げ見送りも、金利見通しを下方修正

9月20-21日に開かれた米連邦公開市場委員会(FOMC)の会合で、政策金利(FFレート)の据え置きが賛成多数で決定されました。金利据え置きは予想通りです。会合終了後に公表された声明では、労働市場における需給関係の引き締まりや経済成長の加速が指摘されましたが、雇用、家計支出、企業設備投資、インフレに関する見解は前回(7月26-27日)とおおむね同じ内容となりました。

FOMC声明では、利上げについて「政策金利(FF金利)を引き上げる根拠は強まった」との判断が示されましたが、当面は「目標に向けた進展のさらなる証拠を待つ」としています。インフレ率が2%に向けてすみやかに加速する兆候は確認されていないものの、今回の会合では3名のメンバー(ジョージ米カンザスシティー地区連銀総裁、メスター米クリーブランド地区連銀総裁、ローゼングレン米ボストン地区連銀総裁)が0.25ポイントの利上げを支持しました。

ただ、FOMCの経済予測における金利見通しは、2017年末が1.1%、2018年末は1.9%、2019年末は2.6%と想定しています。2017年-2018年の金利見通しはいずれも下方修正されており、リスク選好的なドル買いが広がる状況ではなさそうです。一方、日本銀行は「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を実施しました。追加の金融緩和ではなく、これまでの枠組みを変えたものです。株式市場はマイナス金利幅の拡大が見送られたことなどから金融株を中心に買戻しが入っています。ただ、この流れが続くかどうかはまだ判断つきません。日本株の動向にも注意したほうが良さそうです。


執筆者:フィスコアナリスト 田代昌之

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