ランド・円:変動率の大きさが魅力の高金利通貨

  • メインターゲット:7.50円
  • サブターゲット:7.00円

テクニカル:雲上限をサポートとした展開へ

足元のランド・円は、7円台前半で推移しています。ドルやユーロとは異なり、ランドは一日で数%動くことがざらにあります。ボラティリティ(変動率)の高さは魅力ですが、その分、リスクコントロールが必要な通貨と言えます(詳細はファンダメンタルズにて)。

日足の一目均衡表では雲上限レベルで推移しています。遅行スパン(※1)が実線でもみ合うなど明確な方向性は捉えにくい状況にあります。今後、7.30円レベルまで切り上がる雲上限をサポートラインとして意識できるかがポイントになるでしょう。6月末につけた安値6.40円を起点に下値を切り上げる格好となっていますので、このまま雲上限に沿った動きが見られるのではないかと考えています。

メインターゲットは、10月戻り高値水準の7.50円とします。一方、6月末を起点としたサポートラインや雲を割り込んだ場合、心理的な節目である7.00円を意識した展開となるでしょう。今回はこの水準をサブターゲットとします。

※1遅行スパン
当日の終値を26日前に記入します。
「前日比」は当日の価格と前日の価格を比較したものですが、「遅行線」は当日の価格と26日前の価格を比較していることになります。

転換線
過去9日間の最高値と最安値の中心値を結んだ線で、短期的な相場の方向性を示します。

基準線
過去26日間の最高値と最安値の中心値を結んだ線で、中期的な相場の方向性を示します。
例えば、ドル・円相場の過去26日間の最高値が120円、最安値が100円だった場合、基準値は110円となります。

先行スパン1
基準線と転換線の中心を、26日先に先行させて記入します。
基準線は過去26日間の中心、転換線は過去9日間の中心ですが、先行スパン1はそれぞれの中心となります。

先行スパン2
過去52日間の最高値と最安値の中心を、26日先に先行させて記入します。
先行スパン1と先行スパン2に囲まれた部分を「雲」と呼びます。

ファンダメンタルズ:政治リスクで揺れる南アフリカ

あまり馴染みはないかもしれませんが、南アフリカ(南ア)の政治情勢に関してご説明したいと思います。南アは、2010年にサッカーワールドカップをアフリカ大陸で初めて開催した国です。通貨であるランドは、高い金利(スワップポイント)と値動きが特徴と言えます。

その南アが政治的に揺れています。ゴーダン財務相が逮捕される可能性が高いというニュースが今週伝わりました。少々さかのぼりますが、南アでは8月頃、ゴーダン財務相が国税庁長官時代、スパイ部門設立への関与についての疑惑が浮上。南アでは、この話が浮上する前に、統一地方選挙が実施され、与党アフリカ民族会議(ANC)が50%以上を得票しました。

しかし、同選挙では、現職のズマ大統領の私邸改修への公金流用に批判が高まり、ANCが得票率を大きく減らす一方、野党が大躍進を遂げ勢いを強める格好となりました。この選挙結果を受けて、南アフリカの政治が健全化に向かうとの期待感が強まり、ランドは買われたのです。リスク回避の買いが入りやすい円やスイス・フランを除きますと、主要通貨は、選挙で与党が劣勢となれば、その通貨は売られがちですが、南アの場合は逆となりました。

それだけ、ズマ大統領は様々なしがらみを抱えているようです。有能なゴーダン氏を財務大臣に取り込みましたが、ゴーダン氏の疑惑、そして、逮捕の可能性という流れを見る限りでは、自分にはむかう人材を排除しようとしているようにも映ります。年末にかけて、ズマ政権が大きな転換を迎える可能性もありますので、ランドは大きく上下するかもしれません。


執筆者:フィスコアナリスト 田代昌之

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