ポンド・円:ポンド一段安への警戒感強く、積極的な買いは手控え

  • メインターゲット:121.60円(8/19、136.00円から引き下げ)
  • サブターゲット:130.00円(8/19、128.82円から引き上げ)

テクニカル:一段安を警戒したもみ合い相場が継続か

足元のポンド・円は、126円から128円と狭いレンジで推移しています。7日に121円62銭まで急落した後は下げ渋っていますが、目立った反発は見られません。安値更新とはなっていませんが、「長い下影(下ヒゲ)形成で反発」といった流れは、英国経済を考慮すると難しい(詳細はファンダメンタルズにて)ようです。

日足の一目均衡表では、転換線レベルでもみ合っています。遅行スパン(※1)は実線を下回った状況で横ばいとなっているほか、方向性を指し示す基準線(※2)も横ばいです。基準線を上抜けると短期的な反発基調が強まる可能性はありますが、それも心理的な節目である130円水準で上げは一服すると見ます。積極的な買いが入らない状況を考慮しますと、雲への突入はしばらく見られないと考えます。

もみ合いが続いているということは市場エネルギーが蓄積しているとも言えます。上下に大きく振れる可能性を秘めていますので当たれば大きいのですが、市場のスタンスは一段安に警戒といった状況です。今後ですが、買いを示唆するテクニカル指標が乏しいことから、ポンド・円のもみ合い相場はしばらく続くと想定しています
メインターゲットは年初来安値水準の121.60円サブターゲットは心理的な節目である130.00円とします。

※1遅行スパン
当日の終値を26日前に記入します。
「前日比」は当日の価格と前日の価格を比較したものですが、「遅行線」は当日の価格と26日前の価格を比較していることになります。

※2基準線
過去26日間の最高値と最安値の中心値を結んだ線で、中期的な相場の方向性を示します。
例えば、ドル・円相場の過去26日間の最高値が120円、最安値が100円だった場合、基準値は110円となります。

転換線
過去9日間の最高値と最安値の中心値を結んだ線で、短期的な相場の方向性を示します。

先行スパン1
基準線と転換線の中心を、26日先に先行させて記入します。
基準線は過去26日間の中心、転換線は過去9日間の中心ですが、先行スパン1はそれぞれの中心となります。

先行スパン2
過去52日間の最高値と最安値の中心を、26日先に先行させて記入します。
先行スパン1と先行スパン2に囲まれた部分を「雲」と呼びます。

ファンダメンタルズ:今会合での利下げ実施は見送りとなりそうだが・・・

イングランド中央銀行のカーニー総裁は、10月25日、上院委員会で証言し「足元のポンド下落はかなり著しく、インフレが目標を上回る状況を許容するには限度がある」との認識を示しました。カーニー総裁は11月3日の金融政策委員会の会合で、最近のポンド安を間違いなく考慮するとも述べています。

カーニー総裁は、ポンド安の影響で2017年前半までにインフレ率は1.5%-1.8%まで上昇するとの見方を示しており、今回の会合での利下げ観測は大幅に後退しました。ただ、市場関係者の間では、仮に利下げが見送られてもポンド相場が大きく戻すことは難しいとの見方が多くなっています。

英国が欧州連合(EU)から離脱し、EUに加盟している1つの国で事業の認可を得れば、ほかの加盟国でも金融サービスを提供できる免許制度(単一パスポート)が維持できない場合、国際金融センターとしてのロンドンの地位が大幅に低下することは避けられないでしょう。ポンド相場の先安観が、急速に広がる可能性があります。この問題を巡って英国内政治の混乱が懸念されており、7日に見られたようなポンド急落(東京時間の朝方にポンド・円が121円62銭と今年の安値を更新)が再び発生するかもしれません。



執筆者:フィスコアナリスト 田代昌之

【情報提供】株式会社フィスコ FISCO Ltd.

  • 本レポートは、あくまで情報提供を目的としたものであり、投資その他の行動を勧誘するものではありません。
  • 本レポートに掲載される情報は株式会社フィスコ(以下「フィスコ社」という)が信頼できると判断した情報をもとに作成したものですが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、フィスコ社は保証を行っておらず、また、いかなる責任を持つものでもありません。
  • 本文、データなどに関しては、著作権法などの法律、規制により知的所有権が保護されており、個人の方の本来目的以外での使用や他人への譲渡、販売、コピーは認められていません(法律による例外規定は除く)。
  • 本レポートに掲載される為替レートは、フィスコ社が独自に取得した情報であり、じぶん銀行の為替レートとは異なります。
  • 一目均衡表の著作権は、株式会社経済変動総研に属します。

以上の点をご了承の上、ご利用ください。

じぶん銀行からのご注意

  • 本画面に掲載されている情報は、じぶん銀行の見解を代弁したものではなく、じぶん銀行がその正確性、完全性を保証するものではありません。

以上の点をご了承のうえ、ご利用ください。