ドル・円:米大統領選の結果で乱高下は必至か

  • メインターゲット:107.50円(10/7、107.50円と同じ)
  • サブターゲット:99.00円(10/7、102.50円から引き下げ)

テクニカル:6月安値か7月高値を意識した格好に

足元のドル・円は買い一服となっています。9月末から見られたドル買い円売りの流れは一巡しており、現在は75日移動平均線レベルまで調整しています。トランプ・リスクに対する警戒感がリスク回避のドル売りを誘発しているようです。日足ベースでは、25日移動平均線が75日移動平均線を上抜く(ゴールデン・クロス)(※1)が示現していますが、さほど材料視はされていないようです。株式市場同様、為替市場でも、11月8日(日本時間9日)の米国大統領選挙に対する不透明感が重く圧し掛かっています。

現在、横ばい推移の75日移動平均線がサポートラインとなっていますが、米大統領選挙への警戒感が高いことから、トランプ候補優勢といったニュースが流れると簡単に割り込んでしまうかもしれません。本日、米雇用統計の発表を控えていますが、予想と実数で大きな乖離が発生しない限りドル・円は動意薄となる気がします。それよりもインパクトがあるイベントが間近に控えていることから仕方ない状況とも言えます。

ドル・円は今晩の米雇用統計発表に対する動きは限定的となり、来週の米大統領選挙で大きく動くと見ます。市場では、トランプ候補の支持率がクリントン候補の支持率を上回ったことで、一気に警戒感が高まっていますが、獲得する選挙人の見込みではクリントン候補が大きく上回っているとの声も聞かれます。6月末の英国による欧州連合(EU)離脱の記憶が鮮明に残っているので、まずはリスク回避でしょう。クリントン候補の勝利を想定し、ドル・円のメインシナリオは7月戻り高値水準の107.50円とします。一方、トランプ候補の勝利の場合、強烈なドル売りが発生するでしょう。サブシナリオは6月安値水準の99.00円です。

※1ゴールデンクロス
移動平均線の短期線が長期線を下から上抜くことで、買いサインである。一般的には25日移動平均線が75日移動平均線を上抜くことを指すが、5日移動平均線と25日移動平均線の組み合わせを用いるケースもある。この反対は「デッドクロス」。

ファンダメンタルズ:21時30分に10月の米雇用統計

今晩の東京時間21時30分に米国の10月雇用統計が発表されます。市場予想(市場コンセンサス)は、失業率が4.9%(9月は5.0%)、非農業部門雇用者数は+17.5万人(同+15.6万人)、平均時給は前年比+2.6%(同+2.6%)と予想されています。

1-2日に開かれた米連邦公開市場委員会(FOMC)の会合では、政策金利の据え置きが予想通り決まりました。FOMC声明では「利上げの論拠は引き続き強まっている」との見解が表明されました。一方、インフレについては「インフレ率は今年の初めからやや上昇した」と指摘しましたが、「大半の調査に基づいた長期的なインフレ期待の指標はここ数カ月、総じてあまり変わっていない」との見解も示されました。

また、今回のFOMC声明文には利上げ時期を特定する文言は含まれませんでした。一部では、「次回会合で利上げが適切かどうかを議論する」との文言がFOMC声明に含まれると予想されていましたので、こちらに関しては想定外の内容です。12月利上げが明示されなかったことについて、「米大統領選を考慮したからではないか?」との解釈が浮上していますが、大統領選の結果次第で市場が大きく混乱する可能性は排除できないとの声も聞かれています。米金融当局も「トランプ・リスク」を警戒といったところでしょうか。


執筆者:フィスコアナリスト 田代昌之

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