ユーロ・ドル:1.0500ドルからのリバウンドを探る展開に

  • メインターゲット:1.0874ドル(11/25の1.025ドルから引き上げ)
  • サブターゲット:1.0506ドル(11/25の1.070ドルから引き下げ)

テクニカル:乱高下となるも反発基調は継続か

ユーロ・ドルは、5日の朝方に1.0506ドルまで急落する場面が見られましたが、長い下影(下ヒゲ)(※1)を残すなどきれいなリバウンドが見られました。ただ、昨日のECB理事会の結果内容(詳細はファンダメンタルズにて)を受けて1.0874ドルまで上昇した後、1.0600ドルでの攻防を迎えています。

前回想定したサブターゲットである1.0700ドルを上回ったのですが、切り下がる25日移動平均線水準を下回ってしまいました。しかし、ボリンジャーバンドでは、拡大していたバンド(※2)が縮小していることから、反発地合い、または落ち着きを取り戻している地合いと見ることもできます。

イタリア国民投票という不透明要因をなんとかクリアしたことから、過度な警戒感は後退しています。中長期的に見ますと、ボックス下限である1.0500ドルで下げ止まったことから、ここから緩やかな反発が入る可能性はあります。8日につけました1.0874ドルを意識した反発は継続と考えます(メインターゲット)。一方、楽観ムードに支配されつつある市場で、イタリア金融機関の先行き懸念が改めて警戒された場合、ユーロ売りが強まるでしょう。こうした場合、5日の安値1.0506ドルをサブターゲットとします。

※1 下ひげ(下影陽線、下影陰線) 上昇を暗示するローソク足。売りを受けて下落したものの、売り一巡後は買い方に押され反発した形状。影(ひげ)が長ければ長いほど下落が強かったことを意味する。下落局面の株価が安値圏で下ひげを残すと大底を打ったと見られるケースが多い。

※2 σ(シグマ)  ある一定の確率で値動きが収まりやすいレンジを『σ(シグマ)』と呼び、平均値からみて上のレンジを+1σ、下のレンジを-1σと呼びます。これを2倍したものが+2σ・-2σになります。σ(シグマ)をつないだ線をバンドと呼びます。

ファンダメンタルズ:ECBは毎月の買い入れ額を200億ユーロ減額

欧州中央銀行(ECB)は8日の理事会で、資産買い入れプログラムを2017年3月から12月まで延長することを決定しました。ただ、2017年4月以降、毎月の買い入れ額は現行の800億ユーロから600億ユーロに減額されます。

ECBのドラギ総裁は会見で「量的緩和(QE)はある意味無期限、無制限である」、「見通しが悪化した場合、QEを拡大、延長する可能性がある」と説明し、緩和策の縮小ではないと主張しました。ただ、債券市場関係者の間からは「資産買い入れプログラムは2018年以降も継続される見込みだが、ドラギ総裁の任期が終了する2019年11月までには終了し、買い入れ額はゼロにはならないが大幅に減額されるのではないか?」との声が聞かれます。

8日の欧米市場では「ECBによるQEは無制限」とのドラギECB総裁の発言を意識して、ユーロ売りが優勢となりましたが、ユーロ圏のインフレ率はゆるやかに上昇していくとの見方は増えており、QEの長期化に対する懐疑的な見方は少なくないようです。来週は13-14日に米FOMCが開催され、米金利の引き上げ実施が議論されます。ユーロ・ドルが明確に動きだすのは、米FOMC以降と考えます。


執筆者:フィスコアナリスト 田代昌之

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