ユーロ・ドル:ドル高加速で中期的なサポートラインを割り込む

  • メインターゲット:1.0300ドル(12/9の1.0874ドルから引き下げ)
  • サブターゲット:1.0500ドル(12/9の1.0506ドルからやや引き下げ)

テクニカル: 中期的には1ドル=1ユーロを意識へ

ユーロ・ドルのレポートが続いていますが、大きな変動が見られましたので、ご説明できればと思います。東京時間15日未明、米国が1年ぶりに0.25%の利上げを発表しました。この利上げは市場の想定通りで目立った材料ではありませんが、同時に発表した17年の利上げ余地を3回としたことがポジティブサプライズと捉えられたのです(詳細はファンダメンタルズにて)。

為替市場では、ドル高が加速し、1ドル118円台まで円安ドル高が進みました。発表後、わずか20時間ほどで3円も円安ドル高が進行したわけです。こうした猛烈なドル買いを受けて、ユーロ・ドルは、1ユーロ1.0367ドルまで低下しました。東京時間5日の朝方、イタリア国民投票の結果発表時につけました1.0506ドルを割り込んでいます。1.0500ドル割れは15年3月16日以来となります。

短期的な下げ基調が強まっているだけではなく、中期的なサポートラインである1.0500ドルも割り込んだことから、1ユーロ=1ドル(パリティ)を意識した相場展開となる可能性もあります。短期的なドル上昇に対する加熱感から、1.0500ドルに戻す可能性はありますが、中長期的には1.0000ドルを意識した展開となりそうな状況です。じりじりとした下落で、メインターゲットは節目の1.0300ドルとします。一方、サブターゲットは、5日移動平均線が位置している1.0500ドルとしますが、短期的な戻りに過ぎないと見ています。

ファンダメンタルズ:FRBは17年に3回乗り上げを予想するが・・・

米連邦準備制度理事会(FRB)は、本年最後の連邦公開市場委員会(FOMC)で市場の予想通り昨年12月に続き2度目の利上げに踏み切りました。これにより、トランプ次期大統領がFRB機関の改革に着手することが回避されると安心感も広がりました。トランプ次期大統領は選挙中、イエレン議長を政治的な理由から金利を低くとどめていると厳しく非難。しかし、トランプ氏が次期財務長官に指名した元ゴールドマン・サックスのトレーダー、スティーブン・ムニューチン氏は、指名後のインタビューにおいて、イエレンFRB議長のことを称賛していました。こうした背景を考慮しますと、トランプ次期大統領の金融政策に関する見解は不透明なままです。

市場の8割ほどは、トランプ次期政権によるイエレンFRB議長の再任はないと見ているようです。イエレンFRB議長の任期は2018年2月までです。議長は15日のFOMC後の記者会見で、任期まで現職に留まる意向を再確認しました。また、新政権が発足したあと、議会がFRB議長の任期を延長する傾向にあるとも言及しています。任期を延長することにより、FRBの独立性を明確化することが可能となると指摘したわけです。

一方、イエレンFRB議長のFRB理事としての任期は2024年までです。トランプ政権が2期継続すれば、FRBに留まることができます。このため、イエレンFRB議長は、2018年2月に議長職の任期が訪れ再任されなかった場合でも、理事としてFRBに留まる可能性に言及しました。

FOMCは、2017年に3回の利上げ予想を示しています。2016年初頭の予測を思い出しますと、FOMCは最大で3-4回の利上げを予想していましたが、結局、12月の1回に留まりました。このため、債券市場では、FOMCの見通しに対する懐疑的見方はあります。信頼を失いつつあるFOMCが、2017年に信頼を取り戻すことができるか注目されています。




執筆者:フィスコアナリスト 田代昌之

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