カナダドル・円:もみ合いも上値トライの可能性残る

  • メインターゲット:88.80円(12/2、88.80円と同じ)
  • サブターゲット:86.00円(12/2、82.00円から引き上げ)

テクニカル:狭いボックス圏での推移を想定

トランプ次期米大統領の記者会見以降、米ドル高が一服していることもあり、影響を受けがちなカナダドルも対円で上値が重くなっています。原油価格は堅調(ファンダメンタルズにて)なのですが、さすがに経済的なつながりの大きい米ドルの影響を強く受けているようです。昨年12月と1月につけた88円台が目先の上値抵抗ラインとなっています。

日足の一目均衡表では、転換線(※1)、基準線(※2)を割り込む場面がみられます。サポートラインとして意識されている基準線を維持できるかが、今後の注目となりそうです。20日の米大統領就任式までは、積極的なドル買いは入らないとの見方も浮上しています。基準線でのもみ合いが続くと、切り上がる雲上限がいずれサポートラインとなるかもしれません。これはこれで堅調推移となるでしょう。

20日の米大統領就任式までは狭いボックス圏での推移を想定します。原油価格がしっかり、米ドルも下げ渋っていることから、ボックス上限の88.80円をメインターゲットとし、ボックス下限である昨年12月末の86.00円をサブターゲットとします。

※1転換線
過去9日間の最高値と最安値の中心値を結んだ線で、短期的な相場の方向性を示します。

※2基準線
過去26日間の最高値と最安値の中心値を結んだ線で、中期的な相場の方向性を示します。
例えば、ドル・円相場の過去26日間の最高値が120円、最安値が100円だった場合、基準値は110円となります。

遅行スパン
当日の終値を26日前に記入します。
「前日比」は当日の価格と前日の価格を比較したものですが、「遅行線」は当日の価格と26日前の価格を比較していることになります。

先行スパン1
基準線と転換線の中心を、26日先に先行させて記入します。
基準線は過去26日間の中心、転換線は過去9日間の中心ですが、先行スパン1はそれぞれの中心となります。

先行スパン2
過去52日間の最高値と最安値の中心を、26日先に先行させて記入します。
先行スパン1と先行スパン2に囲まれた部分を「雲」と呼びます。

ファンダメンタルズ:原油価格は減産・増産ニュースで一喜一憂

ここでは、カナダドルとの関連性が非常に高い原油価格の動向について確認していきます。石油輸出国機構(OPEC)は、昨年11月に加盟国と非加盟国との協調減産が決定しました。その後ですが、イランはOPEC加盟国だが、減産合意からは除外されており小幅な増産が認められています。一方、OPECの盟主でもあるサウジアラビアは、OPECの減産合意を順守し、1月の産油量を少なくとも日量48万6000バレル引き下げ、1005万8000バレルとしたもようです。この引き下げ量は、昨年11月の協調減産で取り決められた日量と同じだったことから、市場は協調減産を遵守する姿勢をポジティブに捉え、年明けの原油価格は一時昨年来高値を更新する強い動きが見られました。

ただ、一部メディアが、リビアの生産量が年明け以降、増加しており、日量ベースでは過去6ヶ月間で3倍以上になったと報じました。同国はOPECが減産を決めた際の比対象国となっていますが、需給面の緩みがマイナス材料視されて1バレル50ドル台割れ寸前まで下落する場面が見られました。

原油価格はこうした減産、増産のニュースに一喜一憂となっています。今後もこの流れは続くでしょう。思惑先行の売買が強まっていることから、原油価格は今後も振れ幅の大きい相場展開が続くと想定されています。カナダドルは、こうした原油価格の動向を睨んだセンシティブな展開となるでしょう。関連性の非常に強いドルにも左右されますので、外部環境を注視した展開はしばらく続くとみます。


執筆者:フィスコアナリスト 田代昌之

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