ドル・円:「利上げ実施」を急速に織り込む格好に

  • メインターゲット:118.00円(2/24、115.00円を引き上げ)
  • サブターゲット:113.50円(2/24、111.60円を引き上げ)

テクニカル:上値抵抗ラインの雲上限を上抜ける格好に

足元のドル・円は、115円台を回復しています。米国による「3月利上げ」実施がほぼ確実視されており、米国10年債利回りが上昇。日米金利差が拡大していることがドル高の要因です。1月末以降、115円台回復を試す場面が何度もみられましたが、そのたびに跳ね返されてきました。心理的な上値抵抗ラインとして市場では意識されていましたが、ようやくこの水準を上抜けたわけです。

日足の一目均衡表では、転換を示唆する「雲のねじれ」通過後、雲上限を上抜けました。方向性を示す基準線(※1)が上向きとなっていることや、遅行スパン(※2)も実線をクリアしていることなどから反発基調が強まる可能性があります。今後、上値抵抗ラインだった雲上限がサポートラインとして機能するか注目されます。

ドル・円は、昨年12月以降続いていた調整トレンドが一巡し、今後反発に転じる可能性があります。雲上限が位置していた心理的な水準の115円台を回復したことで、今後反発基調が強まるとみます。「利上げ」実施で材料出尽くしとなる可能性はありますが、米雇用統計の内容次第では、1月3日以来となる118円台回復も期待できるでしょう。メインターゲットは118.00円サブターゲットは基準線や転換線が位置する113.50円とします。

※1基準線
過去26日間の最高値と最安値の中心値を結んだ線で、中期的な相場の方向性を示します。
例えば、ドル・円相場の過去26日間の最高値が120円、最安値が100円だった場合、基準値は110円となります。

※2遅行スパン
当日の終値を26日前に記入します。
「前日比」は当日の価格と前日の価格を比較したものですが、「遅行線」は当日の価格と26日前の価格を比較していることになります。

転換線
過去9日間の最高値と最安値の中心値を結んだ線で、短期的な相場の方向性を示します。

先行スパン1
基準線と転換線の中心を、26日先に先行させて記入します。
基準線は過去26日間の中心、転換線は過去9日間の中心ですが、先行スパン1はそれぞれの中心となります。

先行スパン2
過去52日間の最高値と最安値の中心を、26日先に先行させて記入します。
先行スパン1と先行スパン2に囲まれた部分を「雲」と呼びます。

ファンダメンタルズ:米雇用統計では平均時給に注目

米労働省が、今晩の22時30分に2月の米雇用統計を発表します。市場コンセンサスは、非農業部門雇用者数が前月比+20万人程度、失業率は4.7%と予想されています。8日に発表されました「雇用統計の前哨戦」ともいわれる2月のADP全米雇用報告では、前月比+29.8万人の大幅な雇用増となったことから、市場関係者の一部からは、2月の非農業部門雇用者数は25万人程度増加するとの声も聞かれています。

そして、米雇用統計のなかで最も市場関係者が注目している指標は、平均時給です。インフレ見通しに影響を与えることから、関心が高まっています。市場予想の前年比+2.8%を上回る伸びとなった場合、インフレ進行の思惑は強まり、リスク選好的なドル買いが活発となる可能性があります。

また、平均時給の伸びが市場予想を下回った場合でも、3月を含めた年内3回の利上げ見通しは後退しないとの見方が多くなっています。それだけ「利上げ」に対する市場の期待感は強いといえます。米国株がしっかりとした動きを見せた場合、ドルは全般的に下げ渋ると思われます。ドル・円は、心理的な上値抵抗ラインだった115円台をようやく回復しました。ドル高の流れができつつあるなか、米雇用統計の内容次第ではドル買いがより強まるかもしれません。


執筆者:フィスコアナリスト 田代昌之

【情報提供】株式会社フィスコ FISCO Ltd.

  • 本レポートは、あくまで情報提供を目的としたものであり、投資その他の行動を勧誘するものではありません。
  • 本レポートに掲載される情報は株式会社フィスコ(以下「フィスコ社」という)が信頼できると判断した情報をもとに作成したものですが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、フィスコ社は保証を行っておらず、また、いかなる責任を持つものでもありません。
  • 本文、データなどに関しては、著作権法などの法律、規制により知的所有権が保護されており、個人の方の本来目的以外での使用や他人への譲渡、販売、コピーは認められていません(法律による例外規定は除く)。
  • 本レポートに掲載される為替レートは、フィスコ社が独自に取得した情報であり、じぶん銀行の為替レートとは異なります。
  • 一目均衡表の著作権は、株式会社経済変動総研に属します。

以上の点をご了承の上、ご利用ください。

じぶん銀行からのご注意

  • 本画面に掲載されている情報は、じぶん銀行の見解を代弁したものではなく、じぶん銀行がその正確性、完全性を保証するものではありません。

以上の点をご了承のうえ、ご利用ください。