ドル・円:「有事の円買い」に警戒

  • メインターゲット:108.60円(3/10、118.00円を引き下げ)
  • サブターゲット:112.30円(3/10、113.00円を引き下げ)

テクニカル:110円割れを巡る攻防に

足元のドル・円は、110円前半で推移しています。1月上旬の118円60銭を起点とした調整トレンドが継続しており、下値を探るような格好となっています。

現時点では110円割れは回避されていますが、心理的な水準である110円を割り込むような展開となれば、一段安となるかもしれません。200日移動平均線が位置する108円59銭までサポートとなる水準が見当たらないことから、109円レベルでは押し目買いを入れにくいとみます。

今晩は米雇用統計の発表を控えていますが、東京時間に米国がシリアにミサイルを発射と伝わっていることもあり、為替市場は粗い値動きがみられます。方向性をつかむには難しい展開ですが、ドル・円の110円割れには警戒しておいたほうがよさそうです。「有事のドル買い」ではなく「有事の円買い」による円高ドル安相場を想定しておいたほうがいいのかもしれません。メインターゲットは200日移動平均線が位置する108.60円。一方、雇用統計を材料視したドル買いが入った場合、サブターゲットとして25日移動平均線の112.30円辺りが意識されるでしょう。

ファンダメンタルズ:米雇用統計は平均時給に注目

3月の非農業部門雇用者数は前月比+18.0万人程度と予想されており、増加数は2月実績の23.5万人を下回る見込みです。失業率は前月と同水準の4.7%、平均時間給は前年比+2.7%で伸び率は2月実績と同水準となる見込みです。

3月の非農業部門雇用者数が市場予想と一致した場合、6月13-14日に開かれる米連邦公開市場委員会(FOMC)の会合での追加利上げ決定を後押しする材料になるとみられており、ドル買いを促す可能性があります。ただ、平均時給の伸びが予想を下回った場合、インフレ加速の思惑は後退することから、ドル売りが強まる可能性があります。

一方、非農業部門雇用者数が予想を下回った場合でも、平均時給の伸びが予想を上回った場合は6月利上げの可能性が高まり、ドル買い材料になりそうです。ただし、雇用者の増加が予想を大幅に下回った場合(10万人以下になった場合)、早期利上げ観測は後退し、インフレ加速の思惑も後退することから、ドル急落の可能性があります。

報道によると、米NY連銀のダドリー総裁は3月31日、米ブルームバーグTVとの会見で「年内にバランスシートの縮小に着手することは可能」との見解を示しました。ダドリー総裁は「景気が予想通りに推移すれば、米連邦準備理事会(FRB)が年内もしくは2018年に保有証券を再投資せず、緩やかなペースで償還させることを始めても驚きではない」と伝えたそうです。バランスシートの縮小は金融引き締めに近い効果があることから、大半の市場関係者は、バランスシートの縮小作業がスタートするのは2018年になると予想しています。


執筆者:フィスコアナリスト 田代昌之

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