ドル・円:ドル反発の地合いに期待したいところ

  • メインターゲット:113.00円(4/7、108.60円を引き上げ)
  • サブターゲット:109.00円(4/7、112.30円を引き下げ)

テクニカル:年初からの調整は一巡か

足元のドル・円は111円台で推移しています。200日移動平均線で下げ渋った後は反発基調が強まっており、25日移動平均線も上回っています。1月3日の今年の高値である118.60円をピークとした調整局面が終わる可能性がでてきました。

2月から3月にかけても25日移動平均線を上回る場面がみられましたが、このときのサポートラインは100日移動平均線でした。トランプ政権への期待感はく落などが影響し、サポートラインの100日移動平均線を一気に下回る格好となりました。

今回のトランプ政権が打ち出した税制改正については財源が明示されなかったことから、実行可能性に疑念が残っていますが、期待感は根強いようです。発表後、ドル売り圧力はさほど強まっていません。ドル売りの流れが一巡したことから、積極的にドルを売る動きは手控えられているようです。

日足の一目均衡表では、遅行スパン(※1)は実線を捉えています。5月上旬には、雲下限が112円水準まで切り下がります。今後、方向性を示す基準線(※2)が上向きとなる可能性が高いことから、雲への突入を試す展開も期待できます。5月5日の米雇用統計発表に向けた思惑的な相場も想定し、雲上限を上回る113.00円をメインターゲットとします。一方、ゴールデン・ウィークは円高に振れやすいとのアノマリーもあることですから、200日移動平均線が位置する109.00円をサブターゲット とします。

※1遅行スパン
当日の終値を26日前に記入します。
「前日比」は当日の価格と前日の価格を比較したものですが、「遅行線」は当日の価格と26日前の価格を比較していることになります。

※2基準線
過去26日間の最高値と最安値の中心値を結んだ線で、中期的な相場の方向性を示します。
例えば、ドル・円相場の過去26日間の最高値が120円、最安値が100円だった場合、基準値は110円となります。

先行スパン1
基準線と転換線の中心を、26日先に先行させて記入します。
基準線は過去26日間の中心、転換線は過去9日間の中心ですが、先行スパン1はそれぞれの中心となります。

先行スパン2
過去52日間の最高値と最安値の中心を、26日先に先行させて記入します。
先行スパン1と先行スパン2に囲まれた部分を「雲」と呼びます。

ファンダメンタルズ:今晩の米1-3月期GDPに注目

米商務省は、28日にワシントンで1-3月期国内総生産(GDP)を発表します。市場は前期比年率で1.0%成長を予想しています。エコノミスト予想は0.2%から1.5%成長と非常に幅広くなっています。そのようななか、アトランタ連銀は1-3月期のGDP予想を事前の0.5%増から0.2%増へ下方修正しました。

第1四半期の実質個人消費の伸びが、0.3%から0.1%へ鈍化したほか、在庫投資もマイナス寄与度が0.76%ポイントから1.11%ポイントに拡大したことを下方修正の理由に挙げています。アトランタ連銀は、米商務省と類似したモデルをGDP見通し算出に使用していることから正確性に定評がありますので、ネガティブサプライズへの警戒感も浮上しています。

金融危機以降、1-3月期の経済が通年で最も弱い成長に留まる傾向があります。このため、ある程度弱い結果もサプライズとならず、連邦公開市場委員会(FOMC)も利上げの軌道を転換することにはならないと見ています。米金利先物市場の6月の利上げ確率も依然70%近くで高止まりしており、6月の利上げを市場はほぼ織り込んでいます。

ただ、ムニューシン米財務長官は減税のための財源に関する質問で、「成長が補う」としていましたが、持続的な3%成長には程遠いのが現状です。トランプ政権が発表した減税法案に対する期待感は根強く、ドルはしっかりですが、仮に1-3月期GDPがマイナス成長に落ち込んだ場合、失望感からドル売りが再燃することになるでしょう。そうなると5月5日の米雇用統計、7日のフランス大統領選挙への警戒感などからドル軟調の地合いとなるかもしれません。


執筆者:フィスコアナリスト 田代昌之

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