ドル・円:上値抵抗ライン突破でドル高基調継続か

  • メインターゲット:115.51円(4/28、113.00円を引き上げ)
  • サブターゲット:111.90円(4/28、109.00円を引き上げ)

テクニカル:3月戻り高値を意識した反発へ

足元のドル・円は反発基調が強まっています。今週は114円台を回復する場面もみられました。反発の原動力は、フランス大統領選挙が無難な内容となったことが挙げられます。つまり、ドルが下落するとみていた投資家が買い戻しに動いたことが考えられます。

日足チャートでは、200日移動平均線(109.5円水準)で下げ渋った後は、25日移動平均線(111.1円水準)、100日移動平均線(113.0円水準)をそれぞれ上回っています。3月戻り高値115.51円回復を試す格好です。1月高値(118.6円)をピークとした上値抵抗ラインもクリアしていますので、戻りを試す展開といえるでしょう

日足の一目均衡表では、雲上限を上回っています。遅行スパン(※1)も実線を上抜けていますので、方向性は強いと見ています。あとは方向性を示すといわれている基準線(※2)が上向きとなれば、上昇基調が強まると考えます。反発地合いを想定してメインターゲットは3月戻り高値115.51円とします。一方、転換線を下回るなど反発一服となった場合は、111.90円まで切り下がる雲上限が意識されるでしょう。こちらをサブターゲットとします。

※1遅行スパン
当日の終値を26日前に記入します。
「前日比」は当日の価格と前日の価格を比較したものですが、「遅行線」は当日の価格と26日前の価格を比較していることになります。

※2基準線
過去26日間の最高値と最安値の中心値を結んだ線で、中期的な相場の方向性を示します。
例えば、ドル・円相場の過去26日間の最高値が120円、最安値が100円だった場合、基準値は110円となります。

先行スパン1
基準線と転換線の中心を、26日先に先行させて記入します。
基準線は過去26日間の中心、転換線は過去9日間の中心ですが、先行スパン1はそれぞれの中心となります。

先行スパン2
過去52日間の最高値と最安値の中心を、26日先に先行させて記入します。
先行スパン1と先行スパン2に囲まれた部分を「雲」と呼びます。

ファンダメンタルズ:米国の金利先高感が再燃、円安ドル高の材料に

米国の金利先高感が再燃しています。追加利上げとテーパリングの可能性が強まったためです。通常ハト派として知られるボストン連銀のローゼングレン総裁は、見通し通りに経済が展開した場合、年あと3回の利上げが「妥当」との考えを示しました。「過熱経済を回避することが重要」と主張し、緩やかな成長にかかわらず、「労働市場がひっ迫している」と指摘。米国経済は堅調で、失業率も一段と低下する可能性があるほか、インフレも2%に近いと述べました。一部で指摘されている世界経済の弱さや融資の伸びの低迷などのリスクは、緩やかな金融政策の正常化を遅らせる理由にはならないとしています。

また、次回の0.25%の利上げで政策金利であるFF金利誘導目標が1%に達したあと、バランスシート縮小開始を検討する良い時期だとも主張しました。急激なペースでバランスシートを削減しない限り、信用市場への影響は限定的との見方です。このため、主要な金融政策として利上げをするかたわら、バランスシートの縮小も可能だと見ているようです。

カンサスシティ連銀の調査によると、連邦準備制度理事会(FRB)が現行で4.5兆ドル保有しているバランスシートを今後2年間で6750億ドル削減することは、FF金利誘導目標で25ベーシスポイントの利上げと同様の効果があると指摘しました。6750億ドル規模のバランスシートの削減だけで、2019年末には0.25%の利上げ効果が出ることになります。カンザスシティ連銀のモデルによると、4.5兆ドルの保有資産の解消は7回の0.25%の利上げ、トータル1.75%の利上げに相当することになります。こうした見方はドルの先高感につながり、円安ドル高の材料とされるかもしれません。


執筆者:フィスコアナリスト 田代昌之

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