2017年8月18日号

(2017年8月18日~2017年8月24日)

ドル/円

4月安値を割り込む可能性も

  • レンジ上限
    111.66円

    (8/4時点の112.00円より引き下げ)
  • レンジ下限
    107.50円

    (8/4時点の108.83円より引き下げ)

テクニカル

短期的には下げトレンド入り

・サポートラインを下回る格好に
・転換線に頭をおさえられ雲下限を下放れ
・ジャクソンホール会合開催で思惑高まりやすい

足元のドル/円は、109円台で推移しています。25日移動平均線に頭をおさえられた後はじりじりと下を意識した格好が見られます。110円水準で下げ止まるかと思われましたが、トランプ大統領に対する信任低下(詳細はファンダメンタルズにて)を受けて110円台を割り込んでいます。ドル/円は4月安値108.13円を起点に下値を徐々に切り上げていましたが、この水準を下回っています。

今後の方向性を確認するうえで、日足の一目均衡表を確認してみましょう。転換線に頭をおさえられており雲下限を下回っています。遅行スパンが陰転していることや、方向性を示す基準線も下向きとなっていることなどから、短期的には「下落トレンド入り」したと見ています。

109円台を割り込んできますと、11日、既に6月安値108.83円を下回っていることから、4月安値108.13円が意識されるでしょう。また、24-26日にはジャクソンホール会合開催というイベントも控えていますので思惑が高まりやすい状況といえます。8月下旬にかけて、ドル/円は上下に振れる展開を迎えるかもしれません。

4月安値の108.13円を下回る107.50円をレンジ下限雲下限が位置する111.66円をレンジ上限とします。

ファンダメンタルズ

トランプ大統領の信任低下を警戒へ

・トランプ大統領の信任が一段と低下
・経済政策実施に対して懐疑的な見方が強まる
・コーン委員長辞任となれば株安、ドル安に

南部バージニア州で12日、白人至上主義や極右思想を掲げるグループの予定されていたデモに、抗議する市民グループが激しく衝突した事件を機にトランプ大統領の信任が一段と低下しました。トランプ大統領は白人至上主義団体のKKK=クー・クラックス・クランなどを名指しして批判したものの、「双方に責任がある」との見解を示したことが大きな波紋を呼びました。共和党内でも大統領の発言を非難する声が高まっています。

大統領に助言する製造業の最高経営責任者(CEO)からなる評議会のメンバーの辞任があとを絶たず、ついに解散を決めました。政権内部でも大統領の概念に疑問を感じ始めているメンバーも少なくなく、主な要人の辞任の可能性が警戒されています。17日の米国市場で話題となったのは、話題国家経済会議(NEC)のコーン委員長が辞任するとの噂です。のちに否定されましたが、同委員長はトランプ政権の中核となる存在で、税制改革、インフラを実行する上で重要な任務を担っています。このため、委員長の辞任は、トランプ政権の経済政策実施に対する懐疑的見方を一層強めることとなります。

同委員長はユダヤ人であるほか、もともと民主党支持派であったことから、憶測が強まったと考えられます。やはりユダヤ人であるムニューシン財務長官も、ネオナチに対するトランプ大統領の意見に賛同しないと表明。財務長官もコーン委員長とともに税制改革の制定に向けた取り組みで指揮をとっていますので、賛同できないとの表明はトランプ政権への痛手となりそうです。

万が一、コーン委員長が辞任した場合、不透明であった税制改革の実施に不確実性が増すでしょう。トランプ政権にとっては大きな打撃になるため、株式相場やドルが大きく下落する可能性が警戒されています。

執筆者:フィスコアナリスト 田代昌之

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