2017年9月1日号

(2017年9月1日~2017年9月7日)

ドル/円

雇用統計ナイトだが狭いレンジでのもみ合い相場が継続か

  • レンジ上限
    111.66円

    (8/18時点の111.66円と変わらず)
  • レンジ下限
    108.27円

    (8/18時点の107.50円から引き上げ)

テクニカル

一段安は回避も上値重い

・安値圏で下影(下ひげ)を形成
・雲下限を意識した反発だが
・基準線が位置する110円レベルでのもみ合いか

足元のドル/円は110円を挟んでのもみ合いとなっています。ボトムを打ったかどうかの判断はまだできませんが、8月29日のロンドン時間につけました108.27円が目先の下値メドとして意識されそうな状況です。長い下影(下ひげ)を残していることも底打ちを意識しやすいポイントです。

日足の一目均衡表では、転換線、基準線を上回ったことから雲下限を意識した反発に転じる可能性があります。遅行スパンが徐々に切り下がる実線に突入する展開となれば、より反発力は強まるでしょう。ただ、110円台半ばで上値は重くなっており反発も一服しています。基準線が位置する110円辺りでもみ合うような状況です。

上値が重くなっているのは、テクニカルというよりもファンダメンタルズ(ファンダメンタルズを参照)が要因ではないかと見ています。安値圏での下影(下ひげ)形成を受けて一段安は回避できると思いますが、上値は重いと考えます。

8月安値の108.27円をレンジ下限雲下限が位置する111.66円をレンジ上限とします。

ファンダメンタルズ

トランプ政権から「ドル高は国益に叶う」は聞かれず

・トランプ政権は「ドル高政策」を断念か?
・ドルの価値は市場が決める
・雇用統計に対する関心は高まらず

米国トランプ政権は、足元、貿易不均衡の是正に取り組んでいます。北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉の真っ最中でもあります。クリントン政権時のルービン財務長官以降、米国の財務長官が繰り返してきた「ドル高は国益に叶う」との文言は、公正な貿易を望んでいるトランプ政権のムニューシン米財務長官からいまだ聞かれていません。このため、米国政府がドル高政策を断念したのではないかとの見方は、政権発足当初から根強く、本年のドルが年初から下落した一要因ともなっています。

ムニューシン米財務長官は、8月31日、CNBCとのインタビューで、短期的にドルの動向は経済の違う部分で、プラス、マイナス両方の影響がでると指摘。貿易に関しては、「ドル安はいくらか有利に働く」と指摘しました。特に貿易赤字の縮小を目指しているトランプ政権にとっては重要な要因となるため、この方針を考慮しますと、トランプ政権はドル安を望んでいると見ることもできます。

しかし、ムニューシン米財務長官は、「短期的な動向はあまり重要でない」と強調、「長期的には強いドルは、外貨準備通貨であることや、米国経済への自信が表明された証拠になる」と述べています。良い、悪いの問題ではなく、必然的な結果だとも説明しました。ドルの価値は市場が決めるとの見方が根本にあるようです。「ドル高は国益に叶う」という文言はしばらく聞かれないような状況といえます。

今晩21時30分に8月の米雇用統計が発表されます。前哨戦ともいわれる民間のADP全米雇用報告は予想上振れの内容でした。本来であれば、米雇用統計に対する期待感が高まってもいいのでしょうが、米経済指標がいい内容もあれば悪い内容もあるといった状況のため、思惑が高まっていません。米経済指標とトランプ政権のドルへの方針を考慮すると、ドル/円の上値は重いと見たほうがいいでしょう。

執筆者:フィスコアナリスト 田代昌之

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