2017年11月10日号

(2017年11月10日~2017年11月16日)

豪ドル/円

調整トレンドは継続しているが87円処での底入れも

  • レンジ上限
    87.85円

    (6/16時点の86.00円を引き上げ)
  • レンジ下限
    86.75円

    (6/16時点の83.00円を引き上げ)

テクニカル

目先底入れも雲下限での攻防か

・レンジ下限の86.75円処での底入れ感
・調整トレンド継続で雲下限での攻防
・もうしばらく日柄調整の流れか

足元の豪ドル/円は、9月20日の90.27円辺りをピークに調整トレンドが継続しています。一方で、86.75円処での下げ渋りがみられてきています。下値の堅さが意識されてきた中、9月20日高値から戻り高値を結んだ下降トレンドラインの上限レベルでの推移となっていますので、レンジ突破が意識されやすく、トレンドが反転する可能性はあります。

ただし、日足の一目均衡表でみますと、10月下旬にかけての調整によって、雲を割り込んでしまいました。11月に入りリバウンドを試すものの、雲下限に跳ね返されています。そのため、目先的には底堅さが意識されてきたため、自律反発が意識されますが、雲下限の抵抗が強そうです。また、遅行スパンは実線を下回って推移していますので、下方シグナルが継続しています。実線が近いため突破が期待されそうですが、10月の戻り高値水準に向けて実線が切り上がりをみせるため、遅行スパンの上方シグナル発生には日柄調整が必要でしょう。目先的にリバウンドを想定もトレンド転換まではなさそうです。

なお、10月25日に発表された豪7-9月期消費者物価指数の伸びが鈍化したほか、11月3日の豪9月小売売上高が予想を下回った事などから、来年前半の利上げ期待が急速に萎んでいます。先月24日に50%前後であった6月までの利上げ確率は、3日には25%前後に半減しているようです。

上記の流れを考慮し、レンジ下限は底堅さがみられる86.75円水準とします。一方、レンジ上限は雲下限の87.85円とします。

ファンダメンタルズ

豪ドルは出直りをうかがう展開へ

・住宅ブームが経済成長をけん引も低金利が長期化
・18年夏の利上げ期待は大きく後退
・豪州の雇用の堅調さに変わりなく

近年の豪州では低金利を背景とした住宅ブームが経済成長を支えています。雇用は堅調な増加ペースで失業率は緩やかに低下し、消費も緩やかな増加ペースにあります。しかし、賃金が上昇基調に入れるほどの力強さは豪州経済にありません。インフレは落ち着いたままで、政策金利のオフィシャルキャッシュレートは2016年8月から過去最低の1.5%に据え置かれたままです。

そこへ、小売売上高(名目ベース)が17年7月、8月と2ヵ月連続の前月比マイナスとなった後、9月も同横ばいにとどまったため、消費の減速に警戒感が強まりました。これで、18年にかけて豪州経済の成長ペースが高まり、18年夏頃には利上げが実施されるという市場の期待が大きく後退してしまいました。このため、豪ドル円相場は9月24日の90.04円で直近のピークを付けて軟化し、10月末ごろから87円台で値固めの動きに入っているところです。

ただ、豪州では雇用の堅調な増加ペースと失業率の緩やかな低下基調が維持されています。消費の緩やかな拡大基調に変わりはないとみられ、豪ドルは出直りを伺う動きに入ると考えます。そうした中、米国で本格減税が実現すれば、資源国である豪州の最大の輸出先である中国の経済が、対米輸出の拡大で成長ペースを徐々に高めていくでしょう。豪州から中国へ鉄鉱石・石炭・天然ガス等の資源輸出も増加基調を強め、豪州経済が徐々に力強さを取り戻していく見通しです。それとともに、豪ドル高円安基調が明確になるとみています。

執筆者:フィスコアナリスト 田代昌之

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