2017年12月1日号

(2017年12月1日~2017年12月7日)

ドル/円

雲上限突破を試すか

  • レンジ上限
    113.50ドル

    (11/17時点の113.35ドルを引き上げ)
  • レンジ下限
    111.80ドル

    (11/17時点の111.45ドルを引き上げ)

テクニカル

雲下限を支持線にリバウンドを試す形状

・雲下限が支持線として機能
・転換線突破で基準線、雲上限を試す
・遅行スパンのシグナル好転はまだ先

ドル/円は、11月6日の114.70円処をピークに調整局面が続いていましたが、11月27日の110.83円をボトムにリバウンド基調が強まってきています。米税制改革法案の年内可決への可能性が高まってきたことが背景にあります。共和党指導部は12月1日の採決を目指すことを決めましたが、財政赤字の拡大などに与党・共和党内からも懸念が出ており、法案の詰めの作業が続いています。

日足の一目均衡表では、足元で雲下限レベルで底打ちをみせており、リバウンド基調をみせてきています。雲の中での推移であるため強弱感が対立しやすいところではありますが、転換線を突破し、基準線及び雲上限に接近してきていますので、突破を試す展開が意識されています。そのため米勢再改革法案の年内可決の可能性が高まる局面においては、雲上限突破によるトレンドが期待されてくると考えられます。ただし、遅行スパンはこれから11月6日の高値を通過することになります。114.70円を突破するにはハードルが高く、実線を下から上に突き抜ける、シグナル好転については期待しづらいところでしょう。

一方で、週足でみた中期形状ですと、雲上限を突破してきています。112.30円処に雲が位置しているため、今後これが支持線として機能するかが注目されます。

目先リバウンドを試す可能性のなか、111.45円をレンジ下限、113.35円をレンジ上限とします。

ファンダメンタルズ

米これまでのレンジ上限に向かうドル高円安の動きに

・米国議会で税制改革法案の審議・協議が進展
・税制改革法案の成立で米国経済の緩やかな成長ペースは加速
・法案成立期待からレンジ上限に向かう形でドル高円安に

米国の議会では税制改革法案の審議・協議が進行中です。トランプ大統領と対立していた共和党重鎮のマケイン上院議員が税制改革法案に支持を表明したため、上院本会議を通過する可能性が高まっています。仮に上院通過が難しい情勢になれば、上院共和党内で法案を再調整し、上院本会議を通過させることになるでしょう。その後は、上院と下院が異なる法案を成立させたため、調整を行うことになります。上下両院の共和党とも、18年11月の中間選挙での勝利を優先し、修正法案成立に必要な支持を共和党の上下両院議員の間で獲得できるよう、可能な限りの妥協をするでしょう。年明け前後には税制改革法案が成立するとみています。

上下両院での修正協議の結果、修正案が18年から法人税率20%への引下げと所得税率4段階への簡素化による個人所得減税などを含む下院案寄りとなれば、減税効果はそれだけ大きいものになるはずです。米国の設備投資と消費が緩やかな増加基調にあるところへ、法人税・個人事業主税・個人所得税の減税が実施されれば、設備投資や消費の増加ペースが加速する可能性が高まります。巷の議論では見落とされていますが、個人事業主への減税による消費押し上げ効果は大きいでしょう。

当面のドル円相場は、これまでのレンジ内で、減税実現への期待が戻るにつれてその上限へ向かい、ドル高円安気味に振れることになるでしょう。そして、米国の減税実現に市場の確信が強まるにしたがい、ドル高円安トレンドが明確化していくと思います。

執筆者:フィスコアナリスト 田代昌之

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