2017年12月15日号

(2017年12月15日~2017年12月21日)

ポンド/円

基準線が支持線に

  • レンジ上限
    155.00円

    (12/8時点の165.00円を引き下げ)
  • レンジ下限
    149.00円

    (12/8時点の142.00円ドルを引き上げ)

テクニカル

シグナルは好転だが強弱感対立

・遅行スパンは上方シグナル継続
・基準線と転換線でのもち合い
・中期スタンスでは強気継続

ポンド/円は、足元で調整が続いています。欧州連合(EU)のユンケル欧州委員長と英国のメイ首相は8日、ブリュッセルで会談し、英国のEU離脱に際し英が支払う「清算金」やアイルランドの国境問題など離脱条件で大筋合意しました。しかし、市場反応は限られています。11月英小売売上高が予想を上回る結果となったものの、こちらも反応は限られています。また、今年最後の英金融政策委員会(MPC)では政策金利と資産購入枠がともに全会一致で据え置かれました。EU離脱交渉に進展がみられたことで、MPCも何らかの反応を見せるとの観測もあっただけに、やや失望につながった面もあったと考えられます。

日足の形状をみますと、一目均衡表の雲上限を支持線にリバウンドをみせましたが、8日高値をピークに利益確定の売りに押される格好です。ただし、雲上限、基準線レベルが支持線として意識される格好で下げ渋る動きをみせてきていますので、目先的には基準線あたりを支持線として意識した形状が見込まれます。一方で転換線が足元で上値抵抗線として意識されていますので、両線に挟まれた格好でのもち合いも意識されやすいでしょう。とはいえ、遅行スパンは実線を上回って推移していますので、上方シグナルが継続しています。3週間程度は実線を上回って推移する可能性が高く、方向性としては上昇トレンドの中での調整といったスタンスになります。

また、週足形状では雲上限を突破した後は、利食いをこなしながらも基準線が支持線として機能しています。こきにきて転換線を上回ってきており、今回の調整においても転換線が支持線として意識されています。こちらも上昇基調が強まる展開が期待されます。

足元ではややもち合いが続くと想定し、149.00円をレンジ下限、155.00円をレンジ上限として、レンジ幅を縮めています。

ファンダメンタルズ

ポンドは対円で下値固めから出直りの動きへ

・12月8日以降、ポンドは利益確定売りで反落
・EU首脳会議は英国との通商協議開始を承認へ
・英経済への不安が和らぎ、ポンドは対円で出直りへ

12月8日に英国と欧州連合(EU)は英国のEU離脱後を見据えた通商協議入りの条件で基本合意しましたが、ポンドは利益確定売りに押されました。英EU間の通商協議の先行き不透明感が強いこと、英国経済の回復は極めて緩慢で市場が18年の追加利上げ実施に確信を持てる状況にないことが背景だったようです。

しかし、12月14~15日のEU首脳会議では、通商協議入りの条件での基本合意を受け、英EU間の将来の通商関係を巡る予備的な交渉と英国の離脱翌日から2年間程度とみられている移行期間の設定に関する交渉の開始が承認される見通しです。英国側がこれまでに十分な譲歩をしたうえ、英国にとって急を要する課題でもあることから、移行期間の設定については、18年1~2月に英EU間で合意が成立するとみられます。これで将来への不安が軽減し、銀行など企業の英国脱出の動きはひとまず抑えられるでしょう。

英国のEU離脱を決定づけた16年の国民投票後のポンド急落で高まったインフレ率は、ポンドの安定で18年には低下に向かう見通しです。これで実質所得が改善し、消費が緩やかに持ち直すことで、英国経済の成長ペースは徐々に高まっていくでしょう。18年夏にかけ、英中銀が追加利上げに動くという観測が台頭するとみられます。こうした中、ポンドは対円で下値を固め、出直りに向かうとみています。年末までに米国で本格減税が実現すれば、為替市場のリスク選好で安全通貨の円が売られ、ポンド高円安基調が徐々に明確化するでしょう。

執筆者:フィスコアナリスト 田代昌之

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