2018年2月9日号

(2018年2月9日~2018年2月15日)

ドル/円

週足の雲下限での攻防が続く

  • レンジ上限
    111.70ドル

    (1/26時点の111.70ドルを継続)
  • レンジ下限
    107.50ドル

    (1/26時点の107.50ドルを継続)

テクニカル

週足の雲下限でのサポートを見極め

・雲下限での踏ん張りを見極め
・基準線が目先的な転換ポイント
・遅行スパンはしばらく下方シグナル

ドル/円は、昨年9月前半の107.30円処をボトムにリバウンドをみせましたが、その後110.80円から114.70円辺りでのもち合いが続く中、今年に入りレンジ下限を割り込んでしまいました。111円レベルでの攻防がみられましたが、これを割り込んだことで111円処が上値抵抗に変わっています。

週間形状の一目均衡表をみますと、昨年9月から今年1月前半は雲上限での攻防が続いていましたが、このレンジを下回っており、雲下限での攻防に変わりました。ちょうど雲の中で横ばい推移している基準線が、これまでの支持線から抵抗線に変わっています。ただし、昨年9月安値水準で下げ渋る動きをみせており、結果的には雲下限レベルでの底堅さにつながっています。遅行スパンは実線を下回っていますので、下方シグナルが継続しています。しかし、遅行スパンは昨年9月安値水準に位置していますので、基準線を捉えてくる動きをみせてくると、いったんは上方シグナルを発生させてくる可能性があります。ただ、来月には実線が基準線を上回って推移している昨年9月以降にくるため、下方シグナルが続く可能性があるでしょう。まずは基準線突破を見極めたいところです。

一方で、雲下限を下放れてくるようですと、昨年9月の107.50円辺りを試す可能性があります。もち合いレンジが続いているため、ボトムを試す確率の方が高そうです。目先的なレンジでは下限が昨年9月水準の107.50ドル、レンジ上限は週足の雲上限となる111.70円とした前回のレンジを継続します。

ファンダメンタルズ

情勢が落ち着きを取り戻せば、ドル高円安へ

・米国の1月の賃金上昇率の高まりは一時的
・米国の債務膨張に対する不安も一時的
・ドルと米国株の同時高の局面が徐々に到来へ

米国では連邦公開市場委員会(FOMC)が減税実施等で18年の米国の経済・雇用・物価にやや強気な見通しを示しました。そこへ、1月雇用統計で賃金上昇率が高まったため、米国の利上げペース加速への不安が強まりました。また、米国の歳出上限が3000億ドル引き上げられたことで歳出増と大型減税で政府債務が膨張するという不安も強まりました。これら2つの不安で米国の長期金利の上昇と米国株の動揺が強まり、為替市場のリスク回避で安全通貨とされる円に買い圧力が強まりました。

しかし、18年1月の賃金上昇率の高まりは17年1月の賃金上昇率が一時的に低くなったための反動で、賃金の上昇率が緩やかに高まっていく方向性に変わりはないとみられます。米国ではリーマンショック後に就職活動を断念した人が多く、労働参加率が低いため、表面上の失業率の低さが示すほど、労働需給は引き締まっていません。米国経済の成長ペースが緩やかなため、製造業の設備稼働率も相対的に低い水準にあり、モノの需給が全般的に逼迫する状況にもありません。ヒトとモノの需給逼迫でインフレ圧力が急速に強まるリスクは限定的です。米国政府の債務残高については、対名目GDP比で17年の108.1%(IMF=国際通貨基金の推計値)から18年に110%へ2%ポイント上昇するかもしれません。しかし、同比率は16年に2%ポイント上昇しましたが、同年の長期金利は年内の利上げ開始を織り込む形で年後半に上昇しただけで、年間を通してみれば、米国債の需給が大きく崩れたわけではありません。景気への刺激効果が大きくなり過ぎるようなら、米国政府は歳出の抑制を図るでしょう。

今後、インフレ圧力が急速に強まるリスクは限定的なため、米FOMCは米国経済の基調が強まるのを追認する形で、米国経済に中立的な政策金利の水準に向け、利上げを進めていくことが可能です。政策金利の中立的な水準とは、米国経済が成長ペースを過度に加速するのを防ぎつつ、高めの巡航速度で持続的に成長することを可能にするような水準です。それは2.5%~3.5%かもしれません。今後、利上げペースは緩やかに加速していくでしょう。しかし、米国経済が高めの巡航速度で持続的な成長軌道に乗ることに確信が強まれば、米国の長期金利も中立的な水準に上昇する中、ドル高と米国株高が同時に実現する見通しです。

執筆者:フィスコアナリスト 田代昌之

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