2018年3月16日号

(2018年3月16日~2018年3月22日)

ドル/円

ボトムを探るトレンドが継続

  • レンジ上限
    110.50ドル

    (2/16時点の111.50ドルを引き下げ)
  • レンジ下限
    101.00ドル

    (2/16時点の101.00ドルを据え置き)

テクニカル

ボトムを探るトレンドが継続に

・105円台での下げ渋る動き
・遅行スパンは下方シグナル継続
・長期では16年安値水準を意識

ドル/円は、昨年年初の117円台の戻り高値をピークに調整トレンドが継続しており、今年に入ってからは年初の113円台をピークに調整トレンドが続いています。週足の一目均衡表では年初に雲上限を割り込むと、翌2月には雲下限を割り込んでいます。さらに昨年9月の直近安値を下回ったことから、調整基調が強まっています。足元では106円割れの局面での底堅さが意識されていますが、明確な底打ちシグナルは確認できていない状況です。遅行スパンは実線を下回っての推移が続くため、上方シグナル発生はしばらく期待できないでしょう。不安定なトレンドの中、長期的には16年の安値水準への意識が強まりやすいところです。そのため、目先は106円での底堅さを見極めつつ、下へのトレンドを引き続き警戒することになるでしょう。

週足の雲を下放れたことにより、より長期のトレンドをみる必要があります。そのため、月足での長期の一目均衡表ですと、現在は比較的厚い雲の中で推移していますので、強弱感が対立しやすい位置にあります。大きく振れやすい状況にもありますので、目先的なレンジでは下限が16年安値水準の101円を据え置き、レンジ上限は週足の雲下限となる110.50円に引き下げます。

ファンダメンタルズ

当面のドル円相場はもみ合いへ

・早晩、米経済指標は改善ペースを加速へ
・貿易戦争への懸念も徐々に相場に織り込まれよう
・事態収拾の方向性を見極めたいところ

ドル円相場は16年秋以来のドル安円高水準で揉み合っています。トランプ米大統領が保護主義的な通商政策への強硬姿勢を強めているため、貿易戦争とそれが世界経済へ及ぼす影響が懸念され、ドル売り材料とされています。また、3月に入って、米国のインフレ懸念が後退するとともに、米国の利上げペースが年3回から年4回に加速されるという観測も後退し、ドル売り材料とされているようです。

しかし、今後、減税効果の発現で米国経済の成長ペースが加速する可能性は高いと考えています。寒波の影響が一巡する3月以降の米経済指標で、消費と住宅投資が増勢を強め、拡大基調の設備投資とともに、内需が盛り上がり始めていることが確認されると予想します。インフレが落ち着いていても、米国経済の成長ペースが加速すれば、現在の低金利水準のままでは資産バブルが発生しますし、米国経済が強くなり過ぎるリスクも出てきます。このため、インフレが落ち着いていても、米連邦準備制度理事会(FRB)は年4回(場合によっては年5回)、0.25%の利上げを実施することになるでしょう。経済指標で米国経済の基調の強まりが継続的に確認され始めれば、利上げ観測が再び強まり、ドル高円安に振れ始めると思います。

貿易戦争については、トランプ大統領は有言実行を誇示するため、鉄鋼・アルミの輸入関税引き上げを実行する可能性が高いと思います。それに対して、欧州や中国も守勢でいてはまずいと考え、自国の国民・産業界にアピールすることも目指し、何らかの強硬策を打ってくるでしょう。しかし、貿易戦争に発展すれば、米国のグローバル企業は無傷でいられないでしょうし、欧州と中国でも対米輸出の恩恵を享受している自国の産業に大きな影響が及びます。11月の中間選挙で与党共和党の勝利を確実にし、自らの大統領再選に直結する実績作りを目指しているトランプ大統領にしても、欧州・中国の首脳にしても、ことを荒立て過ぎることを避けようとするでしょう。自国の産業・経済に大きなマイナスの影響を及ぼしてしまえば、政治家としての自らの立場を危うくしてしまうからで、各国とも過度に強硬な姿勢を貫き通すのは難しく、いずれ交渉によって落としどころを探る姿勢に入っていくはずです。トランプ大統領としては、米国の貿易赤字の削減に実効性のある対策を中国・欧州・日本が打ち出せば良いわけですから、中・欧・日は最終的には米国から原油・天然ガス・農産物の輸入拡大を検討し始めるなど、輸入拡大への努力を強めると思います。このように交渉による事態収拾の方向性が見え始めれば、貿易戦争への不安は市場に織り込まれていくでしょう。為替相場はドル高円安基調に徐々に戻っていく見通しです。

執筆者:フィスコアナリスト 田代昌之

【情報提供】株式会社フィスコ FISCO Ltd.

  • 本レポートは、あくまで情報提供を目的としたものであり、投資その他の行動を勧誘するものではありません。
  • 本レポートに掲載される情報は株式会社フィスコ(以下「フィスコ社」という)が信頼できると判断した情報をもとに作成したものですが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、フィスコ社は保証を行っておらず、また、いかなる責任を持つものでもありません。
  • 本文、データなどに関しては、著作権法などの法律、規制により知的所有権が保護されており、個人の方の本来目的以外での使用や他人への譲渡、販売、コピーは認められていません(法律による例外規定は除く)。
  • 本レポートに掲載される為替レートは、フィスコ社が独自に取得した情報であり、じぶん銀行の為替レートとは異なります。
  • 一目均衡表の著作権は、株式会社経済変動総研に属します。

以上の点をご了承の上、ご利用ください。

じぶん銀行からのご注意

  • 本画面に掲載されている情報は、じぶん銀行の見解を代弁したものではなく、じぶん銀行がその正確性、完全性を保証するものではありません。

以上の点をご了承のうえ、ご利用ください。