2018年4月13日号

(2018年4月13日~2018年4月19日)

ドル/円

強弱感対立もリバウンド試す

  • レンジ上限
    109.30ドル

    (3/30時点の110.50ドルを引き下げ)
  • レンジ下限
    104.60ドル

    (3/30時点の101.00ドルを引き上げ)

テクニカル

強弱感対立もリバウンド試す

・上値抵抗の雲下限を捉える
・転換線が支持線として機能
・遅行スパンは上方シグナル

ドル/円は、昨年年初の117円台の戻り高値をピークに調整トレンドが継続しており、今年に入ってからは年初の113円台をピークに調整が続いています。週足の一目均衡表では年初に雲上限を割り込むと、翌2月には雲下限を割り込んでいます。さらに昨年9月の直近安値を下回ったことから、ボトムを探る展開が続いている形状になります。ただし、3月下旬の106円40銭台を目先のボトムとして、足元では緩やかなリバウンドが継続しており、週足では転換線を捉えてきています。また、日足ベースでは基準線を突破し、転換線が支持線として機能するなか、ようやく雲下限を捉えてきています。雲の中では強弱感が対立しやすく、方向感が掴みづらい価格帯に入ることになります。ただ、7日間程度の雲下限での攻防を経て、雲下限を捉えており、目先的には雲上限を意識したリバウンドを試すトレンド形成が意識されてきます。また、遅行スパンは実線を下から上に突破してきており、上方シグナルが発生しています。遅行スパンは3月前半の水準で上方シグナルが発生しており、今後は3月下旬の安値水準に向かいことから、しばらくは上方シグナルが継続する可能性が高そうです。

そのため、日足ベースの雲上限を意識したトレンド形成への期待から目先的なレンジ上限が雲上限が位置する109円30銭処とし、レンジ下限は基準線が位置する106円40銭処とします。

ファンダメンタルズ

目先はドル安円高圧力がかかりやすい

・中東の地政学的リスクの高まりを警戒
・大規模な軍事衝突に発展するリスクは限定的
・米時間の経過とともにドル高円安基調へ

米中の貿易摩擦については、両国政府が水面下での交渉を本格化するにつれ、為替市場の警戒感は後退したままになっていくと予想します。足下では代わって緊迫化しつつある中東情勢に為替市場の警戒感が強まっています。化学兵器使用の嫌疑がかかっているシリアのアサド政権に対し、米欧が軍事攻撃に出る可能性が高まっているようです。また、サウジアラビアがミサイル攻撃を受けましたが、イエメンの親イラン武装勢力によるものとみられています。

ただ、シリアのアサド政権に対する米欧のミサイル攻撃は、同政権の後ろ盾ロシアへの刺激を最小限に抑えるため、化学兵器能力の破壊を目指す限定的なものに止まるとみられます。ロシアとしても、米欧とのこれ以上の関係悪化を回避し、緩やかな立ち直り局面に入っているロシア経済への悪影響を最小限に食い止めるため、米欧との本格的な軍事衝突につながるような行動は控えるでしょう。ロシアのプーチン大統領はシリアのために米欧との軍事衝突を本格化することでロシア経済の再後退を招き、ロシア国民の不満を高めてしまうことで、自らの政治的な立場を危うくしてしまう行動はとらないと思います。

サウジへのミサイル攻撃についても、イランを巻き込んだ展開になると厄介ですが、その可能性は低いようです。イランでは欧米による経済制裁が長く続いた影響から経済的困難が今も続いており、昨年末に始まった生活苦を訴えるデモが体制批判に発展するなど、現政府に対する国民の不満が強まっています。このため、イランは欧州を味方につけてサウジを支援する米国との関係悪化を回避し、経済の立て直しを図っています。そのイランが米国との関係を決定的に悪化させるような行動は慎むはずです。当面は中東情勢を巡って為替市場の参加者がリスク回避の行動をとりやすく、ドル安円高に振れやすいかもしれません。しかし、時間の経過とともに、中東の地政学的リスクは緩和していく可能性が高く、ドル高円安に振れ始めると考えています。

執筆者:フィスコアナリスト 田代昌之

【情報提供】株式会社フィスコ FISCO Ltd.

  • 本レポートは、あくまで情報提供を目的としたものであり、投資その他の行動を勧誘するものではありません。
  • 本レポートに掲載される情報は株式会社フィスコ(以下「フィスコ社」という)が信頼できると判断した情報をもとに作成したものですが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、フィスコ社は保証を行っておらず、また、いかなる責任を持つものでもありません。
  • 本文、データなどに関しては、著作権法などの法律、規制により知的所有権が保護されており、個人の方の本来目的以外での使用や他人への譲渡、販売、コピーは認められていません(法律による例外規定は除く)。
  • 本レポートに掲載される為替レートは、フィスコ社が独自に取得した情報であり、じぶん銀行の為替レートとは異なります。
  • 一目均衡表の著作権は、株式会社経済変動総研に属します。

以上の点をご了承の上、ご利用ください。

じぶん銀行からのご注意

  • 本画面に掲載されている情報は、じぶん銀行の見解を代弁したものではなく、じぶん銀行がその正確性、完全性を保証するものではありません。

以上の点をご了承のうえ、ご利用ください。