2018年5月25日号

(2018年5月25日~2018年5月31日)

豪ドル/円

もみ合いながらも上昇か

  • レンジ上限
    85.00円

    (4/20時点の85.00円を据え置き)
  • レンジ下限
    81.00円

    (4/20時点の80.45円を引き上げ)

テクニカル

じりじりと値を戻す展開か

・雲下限に沿った推移
・ダブルボトム形成
・25日線水準を支持線として意識

豪ドル/円は、年初の89円水準をピークに調整が続くなか、じりじりと下値を切り下げる展開となっており、3月後半には節目の80.00円近辺まで下落・接近する場面がみられました。一方で、日足ベースの一目均衡表では、足元で雲下限に沿った推移をみせており、こちらの水準が抵抗線として意識されています。これまで雲下限レベルからのリバウンドを試す動きは度々みられていたものの、本格的な雲上抜けとはなりませんでした。トレンドを見極める上で重要視されやすい基準線、転換線は共に横ばい推移となっており、目先の明確な上下の方向感は掴みにくいでしょう。一方で、3月後半の安値からみると、ダブルボトムを形成しており、じりじりと小幅ながら下値を切り上げていく展開は視野に入れておきたいところです。

また、足元では5日線と25日線による短期ゴールデンクロスが示現しており、その後も25日線が支持線として機能する展開が続いています。本格的なレンジ上放れには時間を要しそうですが、調整トレンドのなかでの戻り基調は引き続き継続しやすいとみられます。

上記の流れを考慮し、レンジ下限は前回の80.45円から、直近安値水準である81.00円に引き上げます。一方で、レンジ上限は基準線の位置する85.00円水準とします。

ファンダメンタルズ

豪ドルは米大統領の強硬な保護貿易政策の軟化を待つ展開

・4月以降の豪ドルは対円でもみ合い
・トランプ米大統領は最終的にはより現実的な姿勢に
・米大統領の強硬姿勢軟化の確認で豪ドルは上昇へ

米中貿易摩擦や米国政府による自動車輸入制限の検討など、トランプ米大統領の強硬な保護貿易政策に警戒感が再び強まっており、世界経済や資源需要に及ぼす影響が懸念されています。このため、トランプ米大統領が保護貿易政策で強硬姿勢を前面に出すと、鉄鉱石・石炭・天然ガスを主要な輸出品とする資源国オーストラリアの通貨は売られやすい状況です。ただ、豪ドルは対円で2月初めから3月末にかけて下落しましたが、4月以降は80円台前半で戻りを試す動きを見せては、押し戻されるというもみ合いの展開にあります。

トランプ米大統領は11月の中間選挙で与党共和党の勝利を確実にするため、実績作りを急いでおり、自らの支持基盤である米国製造業の従業員からの支持を拡大するため、鉄鋼・アルミに次いで自動車でも保護貿易政策を強めています。しかし、その結果、海外から素材・製品・部品の輸入が減少すれば、米国のインフレ率が賃金上昇率を上回ってしまい、有権者全般から反発を買うリスクを冒すことになります。米国議会でも与党共和党がトランプ米大統領の強硬な保護貿易政策に歯止めをかけようとしており、与党からの幅広い支持を獲得することもできていません。

このため、実業家出身であるトランプ米大統領は、最終的には消費者や共和党の幅広い理解を得られる範囲内で、最大限の実績作りを目指すとみられます。トランプ米大統領が米中通商交渉・自動車輸入制限等でより現実的な落としどころを探る動きに入り始めるとともに、世界経済の先行きに明るさが戻り始め、資源価格が上昇を再開するでしょう。豪ドルは対円で4月以降のレンジ相場を上放れる見通しです。

執筆者:フィスコアナリスト 雲宮祥士

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