2018年6月8日号

(2018年6月8日~2018年6月14日)

南アランド/円

昨年12月からの上昇分を吐き出す格好

  • レンジ上限
    9.0000円

    (2/23時点の10.0000円を引き下げ)
  • レンジ下限
    8.0000円

    (2/23時点の8.5000円を引き下げ)

テクニカル

目先は8.4000円台での反発を想定

・調整は一巡したと見ることできる
・短期的には反発を試す可能性
・下へのバイアスが強まる展開には注意

南アフリカランド・円は、2月辺りの9.2000円台をつけた後、右肩下がりの展開が続いています。中期的なチャート形状で見ますと、昨年12月からの上昇分を吐き出す格好となっています。

日足チャートの移動平均線を見ますと、25日移動平均線、75日移動平均線ともに右肩下がりの展開となっており、中期的なトレンドは下向きです。唯一右肩上がりの200日移動平均線も下回っていることから下を意識した地合いといえるでしょう。ただ、冒頭お伝えした通り、12月の急騰前の水準である8.4000円台まで下落したことから、「往って来い」つまり調整は一巡したと見ることもできます。まだ中期的なトレンドは下向きなので油断はできませんが、短期的には反発を試す可能性はあります。

結論として、8.4000台での短期的な反発を想定し、メインシナリオは25日移動平均線、75日移動平均線、200日移動平均線を上回る9.0000円台とします。一方、目先の安値である8.4000円台を割り込んだ際、下へのバイアスが強まり昨年11月以来となる8.0000円台まで試す可能性はあります。サブシナリオとして8.0000円とします。

ファンダメンタルズ

6月中旬のランドは対円で下値確認から出直りへ

・南アフリカの景気回復はもともと緩慢
・ランドが高金利通貨であることに変わりない
・米国経済・ユーロ圏経済の立ち直りが支援材料

南アフリカの実質国内総生産(GDP)成長率は18年1-3月に前期比年率-2.2%と17年10-12月の同+3.1%から急減速し、4四半期ぶりのマイナス成長を記録しました。前期比よりもトレンドを把握しやすい前年比で見ますと、18年1-3月は+0.8%で17年10-12月の+1.5%からやはり減速していますが、前期比ほどの大きな下振れではありません。南アフリカ経済は16年10-12月から+1.0~+1.5%の緩慢な回復を続けており、それが今年に入ってやや下振れたというのが実情です。資源価格が軟調な推移を続けてきたため、宝石・貴金属・鉄鉱石・石炭といった資源の輸出に依存した経済構造の南アフリカでは景気回復が極めて緩慢なままに止まっているのです。

景気回復力が弱いため、付加価値税率引き上げで高まったインフレ率は再び低下するでしょう。7月の金融政策会合で南アフリカ準備銀行(中央銀行)は利下げに動くとみられます。ただ、南アフリカの政策金利は6.5%と高く、リスク選好の動きが戻れば、ランドに対して、低金利通貨の円は売られやすくなります。

6月8-9日のG7首脳会議では貿易摩擦を巡る紛糾が、来週の欧州中央銀行(ECB)理事会や米連邦公開市場委員会(FOMC)では金融政策正常化の動きや追加利上げが、各々予想されています。このため、足元の為替市場でリスク回避の動きが強まり、対円でランドは売り込まれています。しかし、貿易戦争を回避するため、米国政府は強硬姿勢を維持しつつも、通商問題を交渉で解決しようとする姿勢を強めています。寒波・降雪などの影響で1-3月に下振れた米国経済・ユーロ圏経済は4-6月から立ち直りの局面に入り始めました。早晩、新興国経済の見通しが改善し始める可能性は高く、為替市場でリスク選好の動きが戻り始めるでしょう。6月中旬に対円でランドは下値を確認し、出直り始めると予想します。

執筆者:フィスコアナリスト 雲宮祥士

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