2018年7月6日号

(2018年7月6日~2018年7月12日)

ドル/円

雲上限に沿った推移となる

  • レンジ上限
    114.00円

    (6/15時点の113.00円を引き上げ)
  • レンジ下限
    108.00円

    (6/15時点の108.00円を据え置き)

テクニカル

中期的な上昇トレンド入りへ

・下値を切り上げる展開続く
・5、25、75日線は揃って上向き
・昨年末の高値からの半値戻しを達成

米ドル・円は、年初から下落基調が続いていたが、3月末の105円割れの水準をボトムとしたリバウンド基調をみせています。このボトム水準からじりじりと下値を切り上げる展開が続いており、足元では110円を挟んでのもみ合う展開となっています。なお、これにより昨年末高値で水準である114円処からの調整局面を受けた後の半値戻しを達成しています。

日足ベースのローソク足では、5日線、25日線、75日線が揃って上向き基調となっています。そのうち5日線と25日線は200日線を上抜けており、中期的な上昇トレンドが示唆されています。目先は急ピッチで反転した75日線による同線上抜けの展開が想定されるでしょう。日足ベースの一目均衡表では、 6月末にかけて下ヒゲが雲上限を割り込む場面も一時みられたものの、終値ベースで雲上限を支持線とした堅調な推移は継続しています。基準線は急ピッチでの上昇をみせており、転換線とのクロスを目前に控えております。 目先は雲上限を強力な支持線としてキープする展開が続くなかで、基準線及び転換線のクロスを待つ格好となりそうです。

これらを踏まえて、中期的な上昇トレンド入りを見込み、昨年下半期に強い抵抗帯となった114円水準までの戻りを試す展開を期待し、こちらの水準を上値メドとする一方で、下値メドは直近の押し安値である108円処とします。

ファンダメンタルズ

秋口にかけてドル高円安へ

・貿易摩擦問題の割に対円でドルは堅調
・米経済指標の改善基調の強まりが背景
・貿易摩擦への警戒感も後退し、ドル高円安へ

6月中旬から、米国と中国・欧州連合(EU)等との間の貿易摩擦に警戒感が再燃し、世界の株式市場は再び不安定な展開となっています。米国の10年国債利回りも2.8%台前半まで下押しており、日米の長期金利差は縮小しています。しかし、その割に対円でドルは堅調に推移しており、概ね110円台を維持しています。

6月に入って発表された5月の米経済指標には改善基調を強めているものが多く、米国経済の成長ペースの加速に期待が根強いからだと思います。米国企業の業績が堅調なため、米国企業は雇用と設備投資に積極姿勢を維持しており、5月の雇用統計で米雇用の基調の強さが確認され、設備投資の先行指標とされる非国防資本財受注(航空機を除く)は、17年11月以降、前年比で2桁増ペースを維持しています。5月の小売売上高も順調に増加し、米国経済の四番バッターである消費が春から立ち直りの動きを継続的に強めています。さらに、5月の住宅着工件数は年率130万戸台に乗せ、15年央~17年夏まで115万~120万戸のレンジで回復頭打ちとなっていましたが、ここにきて上放れの動きを明確化しつつあります。住宅市場の回復が本格化すれば、持ち家比率の高い米国で消費マインドが大きく向上し、消費の回復が本格化する可能性が高まります。そうなれば、19年の利上げ継続に市場の確信が強まり、ドル高円安が本格化するでしょう。

駐ドイツの米国大使が独自動車大手の社長らと会い、米国と欧州連合(EU)間の自動車への関税をそれぞれゼロにすることを提案したと伝えられています(現在の関税率は米国2.5%、EU10%)。米国にとって不公正となっている現状の貿易構造をトランプ米大統領は最も問題視しています。 EUや中国が米国並みに関税率を引き下げ、そのうえで農産物や原油・天然ガス等の輸入を米国から増やす提案をすれば、トランプ大統領は交渉に前向きとなるはずです。秋口に向け、貿易摩擦への警戒感が後退し始め、ドル高円安が明確化する見通しです。

執筆者:フィスコアナリスト 雲宮祥士

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