2018年7月27日号

(2018年7月27日~2018年8月2日)

ドル/円

3月後半をボトムとしたリバウンド局面

  • レンジ上限
    113.00円

    (7/6時点の114.00円を引き下げ)
  • レンジ下限
    110.00円

    (7/6時点の108.00円を引き上げ)

テクニカル

中期的な上昇トレンドを継続

・雲上限を支持線とした推移
・基準線、転換線ともに雲上での動きを継続
・25日、75日線は上向きをキープ

米ドル・円は、2018年の頭から調整局面が続いていましたが、3月末に105円割れをつけた後は戻りを試す展開となりました。7月半ばに113円までの戻りをみせたものの、その水準をピークとしていったんは下ヒゲベースで110円台後半までの下落する場面もありました。しかし、直近では111円処で下げ止まる格好となっています。

日足ベースの一目均衡表では、雲上限を支持線として意識した底堅い動きとなっています。また、基準線・転換線はともに横ばいではありますが、雲上での推移をしっかりと維持しています。なお、遅行線も株価の上方のポジションをキープしています。他方、日足ベースのローソク足では、5日線が下向き基調となっており、短期的な調整となる可能性も視野に入れておきたいところです。一方、引き続き25日、75日線は揃って上向き基調であり、足元の上昇トレンドは継続しているとみていいでしょう。これにより、雲上限の位置する110円割れ水準まで調整する可能性は意識されるものの、中期的な上昇トレンドは継続しているといえます。

最後に、雲上限の位置する110円割れの水準までの短期的な調整は視野に入れながら、こちらの水準を下値メドと設定する一方で、直近の戻り高値である113円を上値メドとします。

ファンダメンタルズ

やや長い目で見れば、ドル高円安へ

・日本銀行による政策微調整の可能性が浮上
・足下の円買い圧力は根強い
・日銀の政策調整は一過性で円高は一時的

7月20日に「日本銀行が長期金利の誘導目標の柔軟化を検討しており、具体策を7月にも議論する」と伝えられました。この報道を受け、3月以降、0.02%-0.06%のレンジにあった日本の10年国債利回りが0.09%へ急騰しました。日本の長期金利の上昇を材料に円が買われ、ドル円相場は1ドル=113円処から110円台後半に急落し、7月26日時点でも111円前後で円買い圧力が根強く続いています。

しかし、同報道で伝えられたのは、日本銀行が長期金利の誘導目標を今のゼロ%程度から少し引き上げるか、一定の幅を許容するといった調整案です。長期金利の水準が低過ぎるため、金融機関の収益が圧迫されており、そうした大規模緩和政策の副作用を改善する必要は確かにあります。日本経済が立ち直るためには金融機関が健全さを維持していることが不可欠で、いずれは今回の報道で指摘されたような行動を日本銀行はとると思います。

ただ、デフレ経済から脱却する目途のたっていない現在の日本で、金融緩和の解除が本格化する可能性はほとんどゼロであるため、そうした金融緩和政策の手直しは1回限りのものに止まるはずです。しかも、現時点の政策金利は日本0.1%、米国2.0%です。また、代表的な長期金利の10年国債利回りは日本0.085%(7月26日)、米国2.977%(7月25日)です。仮に、日本の10年国債利回りが0.2-0.3%の水準へ上昇しても、米国との間に大きな差が残ります。減税効果などで期待通りに米国経済の基調が強まれば、米国の政策金利は3%台に引き上げられ、10年国債利回りは4%台半ばに上昇する可能性があります。このため、目先的に円高に振れる場面があったとしても、やや長い目で見れば、ドル高円安に向かう可能性が高いと考えます。

執筆者:フィスコアナリスト 雲宮祥士

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