2018年8月24日号

(2018年8月24日~2018年8月30日)

NZDドル/円

直近戻り高値水準までのリバウンドか

  • レンジ上限
    77.00円

  • レンジ下限
    72.00円

テクニカル

じりじりとレンジを切り下げながらの推移

・切り上がる5日線に沿った動き
・短期ゴールデンクロスを見極め
・転換線も下げ止まり

足元のニュージーランドドル(NZD)/円は、74円台で推移しています。年初は80.00円水準での動きでしたが、じりじりとレンジを切り下げながらの推移が続いておりましたが、8月中旬に72.00円処でいったん下げ止まる格好となっています。現在は切り上がる5日線に沿っての戻り局面の様相を呈しています。

前述の通り72円水準まで調整したNZDですが、そこからのリバウンドをみせており、2016年の半ばに推移していたボックス圏へと回帰する形となりました。日足のローソク足では、直近の反発を受けて5日移動平均線が上向き基調となっており、そのほか25日、75日、200日線の下落角度も小幅ながら緩やかになりつつあります。 目先では5日線によって、下向き基調の25日線とのゴールデンクロス示現も迫ってきております。日足の一目均衡表では、下向き基調の基準線及び転換線共に横ばいになっており、今後のトレンド転換を見極めたいところです。

200日線直下及び直近の戻り高値水準にあたる77.00円処を上値メドとし8月半ばにつけた安値72.00円をレンジ下限として設定します。

ファンダメンタルズ

ファンダメンタルズ:9月にはNZドル高円安基調が明確化も

・8月前半には追加利下げ観測でNZドル安
・8月下旬には堅調な小売統計でNZドルが反発
・9月には米中貿易摩擦への不安後退でNZドル高へ

ニュージーランドは酪農製品・肉・木材等の輸出が経済のリード役である輸出立国で、最大の輸出先は中国です。8月に入って米中貿易摩擦に再び警戒感が強まったため、中国経済の先行き不安でNZドル売りが強まり始めました。そこへ、9日の金融政策会合の後、経済成長ペースが一段と減速するようなら、利下げを行う可能性を、NZ準備銀行(中央銀行)のオア総裁が示唆しました。この発言でNZドル売りが加速し、13日には72.56円と16年夏以来の安値を付けました。

しかし、18年4-6月の小売売上高が前期比1.1%増と1-3月の同0.1%増から増加ペースを加速したため、NZドルは買い戻され、8月下旬に74円程度へ戻しました。さらに、8月22-23日から米中両国が貿易戦争の回避を目指して次官レベルの貿易交渉を再開しました。これまでに合計500億ドルの中国からの輸入品に米国は高率関税を課しました。さらに2000億ドルの中国製品(消費財が大半)に追加関税を課すことが検討されていますが、米国企業はコスト増で収益が圧迫され、値上げを実施せざるを得なくなるとして、米国政府に追加関税見送りを要請しています。

米国政府が関税を引き上げ、消費財の値上げが相次ぐ事態となれば、11月6日の中間選挙でトランプ大統領の与党共和党は有権者から強い反発を買い、苦戦必至と思います。このため、米国政府は追加関税引き上げの結論を先送りする形で、中国政府との貿易交渉で妥協点を模索する可能性が高いとみています。こうした米国政府の姿勢が明らかになれば、中国政府も交渉優先の姿勢を明確にするとみられるため、米中貿易摩擦への懸念は和らぐ方向に向かうでしょう。それとともに、中国経済の先行きに安心感が戻り始め、NZドルに買い戻しが入り始める見通しです。9月には対円でNZドルの出直り基調が明確になると予想します。

執筆者:フィスコアナリスト 雲宮祥士

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