2018年8月31日号

(2018年8月31日~2018年9月6日)

ドル/円

レンジ上限までの戻りを試す展開へ

  • レンジ上限
    113.00円

    (8/17時点の112.00円を引き上げ)
  • レンジ下限
    110.00円

    (8/17時点の109.00円を引き上げ)

テクニカル

下値を切り上げる動き

・年初来高値水準までの戻りを視野に
・下値は切り上がる展開
・基準線と転換線はともに雲中で横ばい

米ドル・円は、直近で下値を切り上げる動きをみせています。3月には、105円を一時割り込んだものの、その後は13週線に沿ってじりじりと下値を切り下げる格好になり、7月には1月につけていた年初来高値水準である113円処まで戻す場面もありました。足元では、111円処までの調整となっているものの、長期的な視点でみると、昨年もっとも長い期間の推移をみせていた110-115円の幅に収まっており、中期的な戻りトレンドに変化はないといえます。

週足ベースのローソク足では、13週線を支持線として下値を切り上げる展開が続いています。この13週線は、直近で26週線及び52週線を上抜いてきており、中長期的には戻り局面のトレンドになっていることを示唆しています。また、年初来高値水準である113円処には、200週線も位置しており、目先はこちらを目指した推移となることがメインシナリオとしたいです。他方、日足ベースの一目均衡表では、直近の110円割れ水準からの戻りの中で雲中に突入しており、雲上限超えを窺う推移とっています。下向きであった基準線と転換線はともに横ばい圏になっており、距離も近づいています。そんななか、転換線による基準線突破も視野に入ってきています。

200週線及び年初来高値水準に加えて、レンジ上限にあたる113.00円処を上値メドとする一方で、200日線や雲下限が位置する110.00円水準をレンジ下限として設定します。

ファンダメンタルズ

目先はリスク回避の動きで再びドル安円高に振れやすい

・トルコリラが再び急落
・米中貿易摩擦への警戒感も再燃へ
・9月後半にはドル高円安基調に戻る見通し

8月末のドル円相場は1ドル=111円台半ばまで戻していますが、目先はリスク回避の動きでドル安円高に振れるリスクがあります。8月21日-26日のトルコの連休明け後、トルコリラが再び急落しています。9月には米国政府が消費財を中心とした中国からの輸入品2000億ドルへの追加関税を発動するかどうかを決定する予定で、人民元も不安定な動きを見せています。目先はトルコ情勢と米中貿易摩擦への警戒感再燃でドル安円高に振れそうです。

国内の経済・金融システムに大きなリスクは確認されていないというトルコのアルバイラク財務相の発言が同国の大型連休明けに伝わりました。トルコの大型連休明けで市場参加者が一斉にトルコリラ売りに傾く中、同財務相の発言を受け、トルコ財務省・中央銀行がリラ急落対応措置に動かないのではという不安が市場で強まり、リラ安に拍車がかかっているようです。しかし、トルコで強力な権力を持つエルドアン大統領は実験を失うことを警戒し、国際通貨基金(IMF)に救済を求めることはないとしています。このため、トルコリラ安が通貨不安に発展するのを抑えるため、早晩、トルコ財務省・中央銀行はリラ安阻止の対応策に動き始めるでしょう。それを機に、トルコリラは落ち着きを取り戻すとみています。

米国政府は既に500億ドルの中国製品に追加関税を発動しましたが、さらに消費財を中心とした中国からの輸入品2000億ドルに追加関税を発動すると、サプライチェーンをグローバル展開している米国企業のコスト増・収益悪化・値上げ実施を招くのは必至です。そうなれば、米国では経済の先行き不安で有権者がトランプ政権に反発を強め、11月6日の中間選挙で与党共和党は苦戦を強いられるでしょう。そうした事態を回避するため、9月後半に入れば、トランプ米政権は2000億ドルの中国輸入品に対する追加関税の発動を先送りするとみています。9月前半にはリスク回避の動きでドル安円高に再び振れるかもしれませんが、9月後半に入るとともにリスク回避の動きが一巡し始め、ドル高円安基調に戻る見通しです。

執筆者:フィスコアナリスト 雲宮祥士

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