2018年9月7日号

(2018年9月7日~2018年9月13日)

ユーロ/円

ボックスを切り下げる展開

  • レンジ上限
    131.00円

    (7/13時点の133.00円を引き下げ)
  • レンジ下限
    125.00円

    (7/13時点の127.00円を引き下げ)

テクニカル

レンジ上限までの戻りを試す展開

・200日線が上値抵抗線に
・目先は雲下限割れまで調整の可能性も
・レンジ下限は変わらず

ユーロ・円は、17年末から18年初にかけての上昇トレンドによって、2月に1ユーロ=137円処まで上昇したものの、その後は切り下がるレンジ内での推移となっています。足元では、上値は200日移動平均線に抑えられる格好となるものの、5月と8月に125円水準での下げ止まりが確認されており、こちらが支持線として意識されているようです。直近は、130-131円処からやや下げ基調となっています。

日足ベースのローソク足では、各移動平均線(5日、25日、75日、200日)にはっきりとした上昇トレンドのものは見当たらず、下向き基調のものが目立ちます。しかし、足元で度々レジスタンスラインとして意識されていた200日線の傾きはまだ急ではなく、75日線も少しだが上を向いていることから、本格的な下落トレンドには至っていない可能性があります。そのため、目先の調整は短期的なものに留まりやすく、再びレンジ上限及び200日線水準を目指した戻り基調となることも視野に入ります。 日足ベースの一目均衡表では、直近で雲上限を割り込み、雲中での推移をみせています。下ヒゲで雲下限へ接触する場面が散見されており、こちらがいったん支持線として意識されているようです。ただ、抵抗力としての強さはあまりみられず、本格的な反転をみせるのは125円処まで調整した後かもしれません。 これを受け、目先は調整を挟みながらも中期的にはレンジ上限及び200日線水準を目指すリバウンド局面となる展開をメインシナリオとします。

最後に、上値メドを前回予想(7/13時点の130.00円)から131.00円へと引き下げ、下値メドも前回予想(7/13時点の125.00円)からそれぞれ引き下げる格好で見直します。

ファンダメンタルズ

対円でユーロは出直り基調を維持へ

・トルコ通貨急落とイタリア財政への不安が後退
・英国の無秩序な離脱への不安も後退し始める
・売り材料の後退でユーロの出直りが続く見通し

8月半ばから対円でユーロが出直り基調に入っています。欧州との関係が深いトルコの通貨急落やイタリア財政に対する不安が和らぐ方向にあるからです。さらにここにきて英国が欧州連合(EU)から無秩序な離脱を余儀なくされるという不安も和らぎ始め、ユーロの出直りを後押ししています。

トルコ情勢への不安は根強いですが、国際通貨基金(IMF)の救済措置を受けたことのある同国ではエルドアン大統領が実権を失うことを警戒し、IMFに救済を求めることはしないと明言しています。このため、同大統領が黙認する形でトルコの財務省・中央銀行は通貨安対策を強化していく可能性が高く、13日の金融政策会合では通貨安阻止を目指した追加利上げが実施されるでしょう。一部閣僚が財政支出の拡大に固執し、財政への不安が根強いイタリアでも、トリア経済・財務相やサルビーニ副首相など主要閣僚は、債務不安の再燃を回避するため、健全財政を目指す姿勢を堅持しています。このため、イタリア財政不安も和らぐ方向にあります。

そうした中、英国の無秩序なEU離脱で欧州経済が混乱に陥るのを回避するため、英国とEUがこれまでより柔軟な姿勢で合意を目指す姿勢を明確にし始めており、これがポンドとユーロの出直りを後押ししています。EU理事会の議長国オーストリアのクルツ首相とEUのバルニエ主席交渉官は英国との合意を目指す姿勢を明確にし、バルニエ主席交渉官は英国と前例のない緊密な関係を築く用意があると英国に譲歩する姿勢も見せています。EU最大の経済大国であり、かつEUに強い影響力を持つドイツのメルケル首相も英国の無秩序な離脱を回避することに全力を尽くす方針です。今後もトルコ情勢と英国の無秩序な離脱への不安が後退を続け、対円でユーロは出直り基調を維持する展開が見込まれます。

執筆者:フィスコアナリスト 雲宮祥士

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