2018年9月28日号

(2018年9月28日~2018年10月04日)

豪ドル/円

戻り基調継続か

  • レンジ上限
    83.00円

    (8/3時点の84.00円を引き下げ)
  • レンジ下限
    80.00円

    (8/3時点の80.00円を据え置き)

テクニカル

三役好転への期待高まる

・80円割れ水準では下値拾いの動き
・レンジ上限までの戻りを視野に
・転換線も雲入り

豪ドル・円は、年初は1ドル=89円台での推移となっており、90円突破の可能性も意識されましたが、想定以上に上値は重く、2月にかけて80円台前半までのスピード調整をみせました。その後もじりじりと下値を切り下げる動きが続いており、9月初旬には節目の80円を一時割り込む場面もありました。その後、足元では81-82円台での推移になっています。

日足のローソク足では、9月初旬の調整後の短期的な反発局面となったことで、5日移動平均線が上向いております。日々線が切り上がる5日線に沿った動きになるなかで、25日線や75日線を上抜ける展開になっています。25日線も既に上向き基調に反転しており、次いで75日線の上向き及び200日線までの戻りも次第に視野に入ってきやすいでしょう。日足の一目均衡表では、9月20日から本格的に雲中へと突入しており、雲上限が切り下がるなかで、チャートの雲上限突破も近づいてきています。9月初旬からみせた短期的なリバウンドによって、基準線を上抜けた転換線は、雲下限に接触しました。また、遅行線もチャートの上方に位置しており、ローソク足が本格的な雲抜けを示唆する動きをみせています。これにより、転換線が上向きとなり、雲突破による三役好転も期待されてくる可能性が意識されます。 /span>

これらを踏まえ、早期の雲上限突破による上昇トレンド入りをメインシナリオとし、レンジ上限は雲抜け直後にターゲットとして意識されやすい200日線水準の83円処と設定します。一方で、下値メドは年初から支持線として意識される80円処とします。

ファンダメンタルズ

豪ドル円相場は米中通商交渉再開を睨んだ展開

・9月中旬の豪ドルは対円で反発
・その後は米中貿易摩擦への警戒感もあってもみ合い
・米中通商交渉再開への期待で10月後半に再上昇か

9月に入って米中貿易摩擦への過剰な警戒感は後退し、中国政府による景気刺激策への期待も高まる方向にあります。これらを背景に原油・非鉄といった資源価格も足下で堅調に推移しています。そうした中、国内で発表された4-6月の実質国内総生産(GDP)成長率は前年同期比+3.4%と約6年ぶりの高い成長率を達成し、8月雇用統計で就業者数も前月比4.4万人増と市場予想の同1.5万人増を大きく上回る増加となりました。このため、鉄鉱石・石炭・天然ガスといった資源輸出立国の通貨である豪ドルは、9月7日の1豪ドル=78.9円から20日の81.99円へ反発を見せました。

ただ、貿易問題で米国政府は中国に対して強硬姿勢を維持しており、中国政府も米国政府の強硬姿勢に反発を強めたままで、通商交渉再開の目途は立っていません。このため、9月下旬の豪ドル円相場はもみ合いの動きにあります。しかし、米中貿易交渉を円滑に進める必要性もあって、中国政府は景気刺激策を順次強化することで中国経済の安定成長を目指すでしょうし、人民元の安定にも努めるでしょう。こうした中国政府の姿勢が中国経済への安心感につながる可能性は高く、豪ドルの支援材料になると思います。

また、米国政府・中国政府とも本格的な貿易戦争に踏み込むことで両国経済が急減速してしまうリスクを強く警戒している様子がうかがえます。米中貿易戦争が本格化し、米国経済の減速懸念が強まれば、11月6日の米中間選挙で与党共和党が苦戦を強いられるのは必至です。このため、10月中には米国政府が中国政府との通商交渉再開の糸口を模索する姿勢を強めていくと思います。中国政府は米国政府の姿勢軟化を待ち望んでいるのですから、米中通商交渉の再開に期待が高まるでしょう。それとともに、米中両国経済の先行きに明るさが増し、資源価格が再上昇に向かうことで、豪ドルは対円で上昇基調に入るとみています。

執筆者:フィスコアナリスト 雲宮祥士

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