2018年11月30日号

(2018年11月30日~2018年12月6日)

ドル/円

目先は明確な方向感出難く

  • レンジ上限
    115.00円

    (11/02時点の114.00円を引き上げ)
  • レンジ下限
    112.50円

    (11/02時点の112.00円を引き上げ)

テクニカル

下値の堅さを意識

・移動平均線は揃って上向き
・引き続き75日線がサポートとして意識される
・115円を前に心理的な節目意識も

米ドル・円は、1月の1ドル=112.00円処で推移していた局面から急ピッチの下落をみせ、3月末に105.00円割れまで調整をみせました。その後は下値を切り上げ続け、10月3日から4日にかけては114円台半ばまでの上昇場面もありましたが、その後の上値は重く、足元では推移するレンジを狭めながらの動きが続きます。

日足ベースのローソク足では、5日線のほか、25日、75日、200日線といった移動平均線が揃って上向き基調となっており、10月から11月にかけて3回あった調整局面では全て75日線水準がサポートラインとして機能しました。足元で焦点となっていた25日線の角度も本格的に上向いておりますが、切り上がる下値と共に上値もじりじりと切り下がっており、均衡型の形状の三角持ち合いとなっている点は気がかりでもあります。これにより、目先で本格的な上昇局面入りとなる可能性は意識しづらく、目先は明確なトレンドは出難い状況となりそうです。とはいえ、下落基調となった場合でもいったんは75日線水準に位置する112.50円処での下値の堅さは意識される可能性があります。

日足の一目均衡表では、転換線が雲上で基準線の上方に位置し、チャートも雲抜けとなるほか、遅行線もローソク足の上にあることから三役好転の形状を維持しております。しかし、 昨年半ばから心理的な節目意識が根強い節目の115.00円を前に、直近で遅行線はローソク足との乖離幅を縮小させていることから、上値の重さが意識されているようです。雲上限割れの可能性も短期的には想定されますが、こちらの水準割れで押し目拾いの動きが出やすくなりそうです。

上値メドは前回予想(11/2時点の114.00円)を引き上げ115.00円とし、下値メドは切り上がる75日線水準の位置する112.50円処と前回予想(11/2時点の112.00円)から小幅に引き上げたいと思います。

ファンダメンタルズ

来年以降の米政策金利見通しは予断を許さない状況か

・パウエル米FRB議長:政策金利は中立とされるレンジをわずかに下回る
・市場関係者のほぼ全員が12月のFOMC会合で0.25ポイントの追加利上げを予想
・2019年以降の政策金利見通しは不透明に

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は28日、エコノミック・クラブ・オブ・ニューヨークで講演を行い、米国経済は堅調な成長が続くとの見方を示しました。政策金利については、「中立とされるレンジをわずかに下回る水準にある」、インフレ見通しについては「2%付近のインフレ率が継続すると予想している」との見解を表明しました。

金利見通しについてパウエルFRB議長は「漸進的な利上げが経済に及ぼす影響は不確実であり、明らかになるまでには1年以上かかる可能性がある」と指摘しています。パウエル議長の発言を受けて28日の米国株式市場では、ダウ工業株30種平均が前日比617.70ドル高、S&P500種は61.62ポイント高と米国株式は大幅高となりましたが、ドルはやや下落しました。

市場関係者の間では「パウエルFRB議長は来年以降における利上げペース減速の可能性があることを強く示唆している」との見方が広がっていますが、パウエル議長は、「金融政策に関しては、当局は今後入手する経済データに特に敏感に反応する必要がある」と述べています。なお、29日公表された米連邦公開市場委員会(FOMC)会合の議事要旨(11月7-8日開催分)によると、ほぼ全てのFOMCメンバーが「フェデラルファンド(FF)金利誘導目標レンジのもう一段の引き上げがかなり早い時期に妥当になる可能性が高い」との見解を表明していたことが判明しています。現時点で市場関係者のほぼ全員が次回(12月18-19日開催)FOMCの会合で0.25ポイントの追加利上げが決定されると想定していますが、2019年以降の政策金利見通しは不透明であり、予断を許さない状況が続くと思われます。パウエルFRB議長が指摘しているように、今後発表される経済データが米金融政策に大きな影響を与えることになりそうです。

執筆者:フィスコアナリスト 雲宮祥士

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