2019年2月8日号

(2019年2月8日~2019年2月14日)

豪ドル/円

引き続き戻りの鈍さを意識

  • レンジ上限
    80.00円

    (12/21時点の80.50円を引き下げ)
  • レンジ下限
    76.00円

    (12/21時点の78.50円を引き下げ)

テクニカル

75日線レベルが抵抗ラインに

・目先は調整の可能性も
・中長期線は依然下向き継続
・雲下限がサポートに

豪ドル・円は、昨年末にかけてじりじりと推移するボックス圏を切り下げるような推移を継続しており、昨年の安値は年末につけた1豪ドル=77円台前半となりました。年明けのフラッシュクラッシュの惨劇で一時71.30円をつけたものの、その後はいったん持ち直し、昨年末安値水準である77.00円処を回復する展開となりました。

日足のローソク足では、年初からの戻り基調で1月末にかけて25日移動平均線は上向き基調に転じての推移となっています。一方で、200日線は下向きとなっていることに加えて、75日線も依然として下向き基調を継続。依然として中長期線にトレンド転換はみられておりません。また、心理的節目の80円処に75日線レベルが位置していることからも、こちらが上値抵抗線として意識され、2月5日を境に5日線は下向きに転じ、現状は短期的な下値模索の展開となっています。

日足の一目均衡表では、ねじれ発生に伴いローソク足が一時雲上に位置していたものの、本日は下ヒゲベースで雲上限を割り込む場面もみられました。転換線は基準線の上方に、遅行線もローソク足上で推移していることから本格的な下落トレンドには至っていないものの、両線ともに強気トレンドが大きく後退する格好になっている点は否めません。目先的には、下向きの転換線が上向き基調の基準線を割り込む公算は高まってくると見られます。短期的な下値模索局面入りの公算も高まるなか、雲下限に位置する76.00円処がいったん支持線として意識されそうです。 これらを踏まえ、上値メドは75日線レベル及び心理的節目として意識されやすい80.00円処を設定しておきたいです。一方で、雲下限の位置する76.00円を下値メドとしておきたいです。

ファンダメンタルズ

利上げ見通し後退で豪ドル売り強まる

・豪準備銀行は2月5日の理事会で政策金利の据え置きを決定
・ロウ総裁は「金利見通しは一段と均衡した状態にある」と指摘
・リスク選好的な豪ドル買いは当面抑制も

豪準備銀行(中央銀行)のロウ総裁は6日に行った講演で、「過去1年間は、次の動きが利下げとなるシナリオよりも利上げとなるシナリオの方が可能性として高かったが、現時点では、双方の可能性は一段と均衡した状態にあると見受けられる」との見方を示しました。この発言を受けて、豪ドル金利の先高観は大きく後退し、リスク回避的な豪ドル売りが急速に広がりました。

ロウ総裁は「労働市場が引き続き重要な決定要因になる」と指摘し、「雇用と賃金の伸びが高まればインフレも加速し、政策金利ある時点で引き上げるのが適切になるだろう」と指摘する一方、「失業率の上昇が続き、インフレ目標の達成に向けてさらなる前進に乏しければ、ある時点で利下げが適切となるかもしれない」との見解を表明しました。ロウ総裁が金利引き上げについて極めて慎重な姿勢を示した理由について、ある市場関係者は「米国や欧州の金利見通しは不透明になっており、オーストラリアが利上げを急げば、通貨高に直面し国内経済を圧迫するリスクがあることを総裁は懸念しているのではないか?」と指摘しています。

足元では、商品市況の安定のほか、企業景況感や輸出の持ち直しなどは明らかになっているものの、国際貿易環境の早期改善はなかなか期待できないとみられます。将来的に豪ドル金利の先高観が再び強まる可能性は残されていますが、当面は米中貿易協議の進展や米国、欧州の経済情勢を見極める必要があることから、市場関係者の間では「リスク選好的な豪ドル買いがただちに広がる状況ではない」との声が聞かれています。

執筆者:フィスコアナリスト 雲宮祥士

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