2019年4月5日号

(2019年4月5日~2019年4月11日)

ユーロ/円

戻り局面入りを意識

  • レンジ上限
    127.50円

    (3/1時点の129.00円を引き下げ)
  • レンジ下限
    124.00円

    (3/1時点の124.00円を据え置き)

テクニカル

レンジ上限を試す展開か

・124円処がサポートラインに
・5日線による25日・75日線とのクロスも視野に
・雲上限突破が焦点に

足元のユーロ・円は、1ユーロ=125円台での推移となっています。年初のフラッシュクラッシュによる下落の後、3月にかけて下値を切り上げる展開が継続していました。しかし、3月1日につけた127円台半ばを頂点とし、上値を切り下げる格好となっております。

日足ベースのローソク足では、3月末にかけては調整局面がみられましたが、年初のフラッシュクラッシュ後にもみ合った水準である124円処がサポートラインとして意識され、4月以降はじり高基調となっております。5日移動平均線は、3月末から4月にかけて上向きに転じ、現状は75日線や25日線とのクロスを窺わせる位置まで上昇する格好となっています。実際にゴールデンクロスが示現できた場合は、3月1日につけた高値や、200日線の位置する127円台半ばまでの戻りは期待できそうです。

日足ベースの一目均衡表では、切り上がる雲上限に上値を抑えられながらも、転換線は上向きに転じているほか、遅行線はローソク足との下方乖離幅を縮小しております。直近では、ローソク足が下ヒゲをつける場面も目立ってきており、下値の堅さも意識されつつあるでしょう。目先は、前述の切り上がる雲上限の突破が焦点となってきそうです。

これらを踏まえ、上値メドは前回予想(3/1時点の129.00円)を引き上げて3月高値水準の127.50円処とする一方で、下値メドは前回予想(3/1時点の124.00円)を据え置きます。

ファンダメンタルズ

超低金利リスクに直面するECBの金融政策

・ECBは4月10日の理事会で金融政策の現状維持を決定へ
・ECBは3月の理事会で超低金利が銀行にもたらすリスクについて議論
・ECBの通貨安志向はより強まる可能性も

欧州中央銀行(ECB)は来週10日に理事会を開催し、金融政策を決定します。主要政策金利は現行の0.00%、預金金利は、-0.40%にいずれも据え置きとなることが確実視されています。市場関係者の間では、「ECBの政策金利は年内据え置きとなる可能性が極めて高い」との見方が広がっていますが、ECBは3月開催の理事会で超低金利が銀行にもたらすリスクについて議論しています。4日に公表されたECB理事会議事要旨には、「持続的な低金利により、銀行の金利マージンや収益性が徐々に低下し、長期的には銀行の仲介機能と金融の安定性にネガティブな影響が及ぶ可能性がある」との見解が含まれていました。

ECBが3月の理事会でこの問題について議論した理由について、「ユーロ圏のインフレ見通しや経済情勢が悪化しており、中央銀行として何らかの対応を迫られているからではないか?」との指摘があります。ECBのドラギ総裁は3月7日開催の理事会後に行われた記者会見で「製造業において一部の国及び特定の産業に起因する外需の減速を反映し,最新のデータでも弱いものとなっている。」、「これらの要因の影響はやや長続きすることが予想され、これにより、短期的な成長見通しについては従前の予想より弱まることが見込まれる」との見解を表明しています。

2018年10-12月期のユーロ圏域内総生産(GDP)確報値は前年比+1.1%で、2013年10-12月期の+0.7%以来の低い伸びにとどまりました。ECBが現行の金融政策を維持しても、成長率やインフレ見通しの改善につながる見込みは小さいことから、2019年の成長率は1%未満にとどまるとの見方が出ています。ECBが量的緩和策を再び導入することは想定されていないことから、「ECBの通貨安志向はより強まる」との声が聞かれていますが、米国がユーロ安を容認するとは思えないだけに、金融政策の今後の運営が注目されることになりそうです。

執筆者:フィスコアナリスト 雲宮祥士

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