2019年4月26日号

(2019年4月26日~2019年5月9日)

ドル/円

投機的なドル売りの可能性も

  • レンジ上限
    112.50円

    (3/29時点の112.50円を据え置き)
  • レンジ下限
    110.50円

    (3/29時点の110.00円を小幅に引き上げ)

テクニカル

上値の重さを意識

・25日線による200日線超えも視野に
・戻り基調のなかでの短期調整か
・三役好転の形状をキープ

米ドル・円は、戻り基調の動きが継続するなか、下値を切り上げながらの推移となっているものの、同時に上値の重さも意識されつつあります。現状は、4月下旬にかけて、1ドル=112円台をつけたものの、その後一段高には至っておりません。

日足ベースのローソク足では、足元で上値の重さが意識されるなか、5日移動平均線が下向きになっています。短期的には調整及び上値の重さの様相が窺えますが、その他の移動平均線(25日、75日、200日線)に関しては上向きを維持しており、大きなトレンドの変化は確認できておりません。また、25日線は200日線との乖離幅を縮小しており、上抜ける展開も視野に入ってきています。 これを受け、大勢のトレンドは崩れておらず、年初から続く戻り基調のなかでの短期的な調整に留まる公算は高いでしょう。

日足ベースの一目均衡表では、三役好転の形状をキープしております。転換線、基準線はともに横ばいをキープしているほか、遅行線が再び上向き、ローソク足との上方乖離幅拡大を意識させる動きになりつつあります。強気形状は維持しており、目先は雲下限レベルがサポートラインとして機能しそうです。

これらを踏まえ、上値メドは上値抵抗ラインとなっている112.50円処を前回予想同様に据え置く一方で、下値メドは75日線レベルの直下に位置する110.50円処へと小幅に引き上げます(前回予想は3/29時点の110.00円)。

ファンダメンタルズ

日米貿易交渉では為替も議論される可能性

・米財務長官は日本との貿易交渉で為替問題を協議していくよう要請
・日本側は貿易政策と為替をリンクさせる議論には賛同せず
・米国側が日本銀行の金融政策を問題視する可能性も

一部報道によると、25日に行なわれたムニューシン米財務長官と麻生財務相の会談で、ムニューシン財務長官は貿易交渉の中で為替問題を協議していくよう麻生財務相に求めたもようです。麻生財務相は為替政策に関して「2017年2月の日米首脳会談での合意に沿って、財務当局間で議論していくことを改めて確認した」との見方を記者団に伝えていますが、「日本としては貿易政策と為替をリンクさせる議論に賛同できない立場を米側に伝えた」と述べています。市場関係者の間では「この問題については日米間で今後協議される可能性が高い」との見方が広がっています。

市場関係者の間からは、「米国は対日貿易赤字の解消を目指していると思われるが、為替調整によって貿易赤字を解消することは考えていない」との声が聞かれています。それでも円安誘導的な経済・金融政策に対して米国が懸念を示すケースはあるとみられており、「貿易と為替を完全に切り離して議論することは難しい」との見方も出ています。

なお、日本銀行は25日、政策金利のフォワードガイダンスを変更し、「海外経済の動向や消費税率引き上げの影響を含めた経済・物価の不確実性を踏まえ、当分の間、少なくとも2020年春ごろまで、現在の極めて低い長短金利の水準を維持することを想定している」に変更しました。現時点でフォワードガイダンスの変更がドル買い・円売りを促しているとは言えないものの、日本銀行の金融政策は円安を誘導するとして米国側が問題視した場合、投機的なドル売り・円買いが強まる可能性は残されていると思われます。

執筆者:フィスコアナリスト 雲宮祥士

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