2019年5月24日号

(2019年5月24日~2019年5月30日)

ユーロ/円

上値の重さを意識

  • レンジ上限
    125.00円

    (4/5時点の127.50円を引き下げ)
  • レンジ下限
    122.00円

    (4/5時点の124.00円を引き下げ)

テクニカル

目先は戻りの鈍い展開か

・直近は長めの下ヒゲつける場面目立つ
・遅行線がローソク足との下方乖離幅を縮小
・雲下限レベルがいったん抵抗線として機能か

5月24日東京時間日中におけるユーロ・円は概ね1ユーロ=122円台半ばでの推移となっています。年初のフラッシュクラッシュ後は急ピッチで戻りを試しましたが、3月1日の127.53円、4月17日の126.82円とじりじりと上値を切り下げる展開が続きました。足元では、その4月17日をピークに調整局面となっており、122円レベルまで下押しした格好になっています。

日足ベースのローソク足では、5、25、75、200日といった各移動平均線が揃って下向き基調にて推移しております。トレンドは下降にあるとはいえ、5月半ば以降に関しては122円処でもみ合いが続いており、ローソク足も長めの下ヒゲをつける場面が散見されております。25日線が急角度で下落していることを踏まえると目先的には戻りは鈍そうですが、下値の堅さ及び押し目買い需要についても同時に意識されつつあります。

日足ベースの一目均衡表では、4月末にかけて雲下限を割り込んでおります。転換線は基準線を、遅行線はローソク足をそれぞれほぼ同タイミングで下回ったことから三役逆転の形状となっています。一方、直近では、遅行線がローソク足との下方乖離幅を縮小してきており、転換線も下げ止まりをみせていることから、いったんは下げ止まりが期待される形状になりつつあります。戻り基調となった場合は、目先的には雲下限レベルがいったん上値抵抗線として機能する公算が高いでしょう。

これらを踏まえ、上値メドは前回予想(4/5時点の127.50円)を雲下限や75日線に近い125.00円に、下値メドは前回予想(4/5時点の124.00円)を直近安値レベルの122.00円へとそれぞれ引き下げます。

ファンダメンタルズ

米中対立長期化でECBは大規模な金融緩和策再開の可能性も

・複数のECB政策委員は低インフレ率を問題視
・金利引き上げ時期は未定
・米中対立長期化で大規模な金融緩和策への回帰も

5月23日に公表された欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨(4月9-10日開催分)によると、複数の政策委員は「インフレ率が目標を不快なほど下回っているが、政策行動を正当化するほどの状況ではまだない」との見解を提示したもようです。ECBは4月の会合で追加刺激策などについて特に議論しなかったものの、今年後半に予定する銀行向け長期資金供給プログラム(TLTRO)の実施条件を審査することで合意しています。

ECBによる金融緩和策は2018年までに一段落していますが、金利引き上げ時期は定まっていません。外部環境が予想以上に悪化した場合、政策金利を引き下げ、債券買い入れなどの金融緩和策(量的緩和策)を再開する可能性は残されていると思われます。通商問題などを巡る米中の対立が長期化し、この過程でイタリアなどユーロ加盟国の債務問題に対する懸念が再び生じた場合、ECBは大規模な金融緩和策を再開し、ユーロ高を抑制する方針を表明する可能性があります。イタリアの債務問題(財政問題)が短期間で解決される見込みはなく、欧州議会選挙後にこの問題が再び注目される可能性があります。

ユーロ・円は今年3月1日に127円50銭まで買われたものの、ユーロ圏の景況感悪化などを嫌気してその後は下げに転じています。金利先高観は大幅に後退しており、新たなユーロ買い材料が提供されない場合、上値の重さは払拭されず、伸び悩む状態が続く予想されます。

執筆者:フィスコアナリスト 雲宮祥士

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