2023年7月5日号
ドル/円
テクニカル分析
ドル高持続の可能性は高い
ドル・円の日足ローソク足において6月22日から29日までの期間では26日だけが陰線で終わりましたが、同日は長い下ヒゲが残されており、ドル高持続の可能性は高いことを示唆する状況となっています。25日移動平均は力強く上昇していることもドル高持続への支援材料となっています。こうした状況において当面の下値目途は大陽線が出現した6月22日の終値(143円10銭近辺)が想定されます。日足の終値ベースでこの水準を明確に下回った場合、ポジション調整的なドル売りが増える可能性があります。この場合、一時的に140円を下回る可能性があります。上値目途については2022年11月10日の高値146円60銭近辺が想定されます。終値でこの水準を上回った場合、150円到達が意識されると思われます。ただし、日本政府・日本銀行は最近の為替相場を注視しており、円安がさらに進んだ場合、円買い介入が実施される可能性があることに注意すべきです。米国の7月利上げの可能性はすでに織り込まれていること、日本の為替介入が引き続き警戒されていることから、新たなドル買い・円売り材料が提供されない場合、昨年11月10日の高値146円60銭を超えることは難しいと思われます。
・ドル・円の想定レンジ:143.10円-146.60円
先週の概況
米利上げ継続予想で昨年11月以来となる145円台に上昇
先週のドル・円は底堅い値動きとなりました。米国の中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は6月29日に行われた講演で「インフレ率はなお高すぎる水準にあり、2%の目標に戻るまでの道のりは長い」との見方を伝えたことを受けて、7月の追加利上げを想定した米ドル買い・円売りが再び強まり、6月30日の取引で昨年11月10日以来となる145円台に上昇しました。日欧金利差拡大の思惑が強まり、ユーロ買い・円売りの取引が増えたことも米ドル高円安の進行を促したようです。
今週の見通し
ドルは上げ渋りか、日本政府の円安けん制姿勢は強まる可能性も
今週のドル・円は上げ渋る可能性があります。日米金利差を意識したドル買い・円売りがすみやかに縮小する可能性は低いものの、7月利上げは織り込み済みであること、日本政府は円安けん制姿勢を強めるとの見方があるため、リスク選好的なドル買い・円売りが一段と強まる可能性は低いと予想されます。今週発表される6月ISM製造業景況指数や6月雇用統計が市場想定に沿った内容だった場合、7月利上げが容易に予想されるものの、1ドル=145円台で米ドル売り・円買いの市場介入が行われる可能性があるため、ドルは145円台で上昇一服となる可能性があります。
執筆者:フィスコアナリスト 小瀬正毅
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