2025年6月4日号
ユーロ/円
テクニカル分析
短期的には165円台前半を目指す可能性も
ユーロ・円の日足ローソク足では、5月14日、15日に実体部分の長い大陰線が出現したものの、23日に長い下ヒゲが残されたこと、27日に実体部分が長い大陽線が出現し、終値ベースで25日移動平均を上回ったことからユーロ安円高の流れはひとまず止まった可能性が高いと判断します。5月13日の高値(165円22銭近辺)を超えることは容易ではないものの、5月23日の安値(161円11銭近辺)は当面の下値目途になると想定されます。一方、当面の上値目途は5月13日の高値(165円22銭近辺)が想定されます。より短期的には25日移動平均(163円15銭近辺)も下値目途として意識されそうです。5月23日の安値を明確に下回るまでは、ユーロ安円高が加速する可能性は低いと判断します。欧州中央銀行(ECB)は6月開催の理事会で追加利下げの必要性について議論する可能性があります。また、アメリカの関税政策が変化した場合、米国株式や米国債に投資資金が還流する可能性があるため、ECBが追加利下げを決めた場合、ユーロ買い・円売りは多少弱まる可能性もあります。
ユーロ・円の想定レンジ:161.00円-165.30円
先週の概況
強含み、日本の長期金利低下などを意識したユーロ買い
先週のユーロ・円は強含みとなりました。欧州中央銀行(ECB)による追加利下げの可能性はあるものの、米国資産のリスクに対する投資家の懸念は残されており、リスク回避的なユーロ買い・米ドル売りが観測されました。また、日本の財務省が超長期債利回りの急上昇を受け2025年度国債発行計画の年限構成を再検討するとの報道を受けて長期国債の利回りが急低下したこともユーロ買い・円売りを促す要因となりました。米長期金利の反発を受けてユーロ買い・米ドル売りは一服したものの、対円レートは底堅い動きを維持しました。
今週の見通し
もみ合いか、ユーロ国際化への課題残る
今週のユーロ・円は、もみ合う状態が続く可能性があります。欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は5月26日に行われた講演で「米ドルを基軸とする現在の国際通貨システムが不確実になりつつある」と指摘しました。ただし、ユーロがより大きな国際的役割を果たすためには欧州連合(EU)の潜在的な経済力の足かせになってきた課題を各国政府が解決する必要があり、決して容易な作業ではないとみられています。このため、新たなユーロ買い材料が提供されない場合、リスク選好的なユーロ買い・円売りが一段と拡大する可能性は低いと予想されます。
執筆者:フィスコアナリスト 小瀬正毅
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